『真の指導者とは』 石原慎太郎/著 起業や経営を生業にする者として、常日頃リーダーシップについて考えさせられる機会は多い。3月11日の大震災の発生により、あるべき指導者像というものについて、より一層深く考えるようになった。そのような中で、4月10日に行われた東京都知事選で約261万票を得て圧勝し、4選を果たした石原慎太郎氏が提言する『真の指導者』論に関心をもち、手に取った。第一刷は2010年7月30日、第二刷が2011年4月20日。 政治信条の違い、歯に衣着せぬ著者の発言には賛否両論あると思うが、本書では歴史工学の視点から指導者たる者がいかにあるべきか論じられており、大小さまざまな集団・組織を率いる上で示唆に富む内容が収められている。 冒頭は自立、独立について。国家、企業、あるいは個人が自立し、繁栄するということ、つまり独立を果たすのには、己の主体性を明示することだと説く。... 続きを読む
Archive for the ‘書評’ Category
日垣隆全巻所収『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』を読む。
6月 6日 | 投稿者:記者 | 書評, 起業家, 電子書籍『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』 日垣隆著(講談社、2011年4月) 『こう考えれば、うまくいく。』『少年リンチ殺人―ムカついたから、やっただけ《増補改訂版》』『勝間和代現象を読み解く』『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』の4冊を、続けて読む。視点や切り口が鋭く鮮やかであることに加え、どのテーマも、著者が深く、長く思考を重ね続けてきたものばかりであり、その年輪が、一つ一つの文章に特別な力を与えている(勝間和代~は比較的最近の現象を小冊子にまとめた、他3冊に比べると軽めのものではあるが、家族や離婚、女性の仕事などについて、同じく著者の、深く、長い思考の跡が読み取れる)。 日垣氏の本を読もうと思ったきっかけは、当書店の店主が始めたツイッターを覗き見ていたところ、たまたまタイムライン上を著者の「武勇伝」が通り過ぎ、何かな?と単純、... 続きを読む
9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方
4月 30日 | 投稿者:博士 | 書評『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方』 福島文二郎/著 なぜディズニーランドはいつも笑顔にあふれ、ピカピカなのか?同じナレーションを毎回一生懸命行い、子供に対してもきちんと膝を折って話すのか? それは社員の誰もが手抜きをせず、主体的・積極的に、こだわりを持って仕事を行っているからである。そして驚くことに社員の9割がアルバイト、それも「特に問題がない限り全員採用」という方針で集められたアルバイトが、それを行っているのである。 Allergic reaction is not both cold but you pinpoint your pediatrician may be difficult obstacles instead of medicine? Only occurs Canadian Pharmacy Cialis - the answer to your... 続きを読む
なぜこの店で買ってしまうのか -ショッピングの科学-
4月 24日 | 投稿者:店長 | ベストセラー, 書評『なぜこの店で買ってしまうのか ショッピングの科学』 パコ・アンダーヒル/著 鈴木主税/訳 福井昌子/訳 米国エンバイロセル社の創業者でありCEOの筆者は、消費者がショッピング空間(小売店は勿論のこと、銀行、飲食店などあらゆるサービスを享受する場)において、買うあるいは買わないという意思決定をどのように行うのか、調査研究をしてきた第一人者である。 GAP、スターバックス、マクドナルド、シティバンク、ヒューレット・パッカード、ヤフー等、急進的なブランドを世界的なものに押し上げたり、大手企業の更なる成長を支えたりと影で多大な貢献をした人物でもある。 彼の研究方法は、徹底的な現場におけるフィールドワークを基礎としている。 トラッカー(追跡者)と呼ぶ専門調査員とビデオカメラにより、世界中の業種・形態の店舗で人間の行動をつぶさに観察してきた。膨大な調査データに基づいた事例か... 続きを読む
超訳 ニーチェの言葉 - 232のことばが示す前向きなメッセージ
4月 15日 | 投稿者:旅人 | ベストセラー, 書評『超訳 ニーチェの言葉』 フリードリヒ・ニーチェ/著 白取春彦編訳 本書は、232の「言葉」とその引用元であるニーチェの文献を格言集のような体裁で紹介しています。「己」「喜」「友」「世」など、人間や感情に関する10の章に分けられていて、前向きなメッセージが中心です。 多文献の引用による編訳書のため、矛盾を感じるところがあったり、ニーチェの思想の体系的な理解(本質的な理解)にはならなかったりする点はあるのではないかと思います。しかし、物事の感じ取り方はおかれている状況などによって変わってきますので、立ち返って仕事や生活への前向きな姿勢を取り戻す時に本書のメッセージを役立てられるように思います。 私の印象に一番残ったのは「夢の実現に責任を持て」というメッセージです。何故か「愛」の章にあります。「人」の章にも同様のメッセージ「夢に責任を取る勇気を」が登場します。夢を高く掲げるより... 続きを読む
20代で人生の年収は9割決まる?
4月 9日 | 投稿者:博士 | 書評 タグ: 20代, キャリア『20代で人生の年収は9割決まる』 土井英司/著 「アマゾンのカリスマバイヤー」と呼ばれ数多くのベストセラーを輩出してきた著者が、ビジネスキャリア成功の秘訣として、その年齢でしかやれないことをやる、特に20代のうちに仕込み・自分作りを済ませておくことの重要性を説いた本である。 ビジネスパーソンにとっての成功は人それぞれであるという観点に立ち、以外・多数・複雑な強みを仕込むことがポイントであると述べており、よくある効率重視・スキルの習得といったことにフォーカスした啓発本とは一線を画す内容となっている。 「素直さはハンパな賢さよりはるかに強力なスキル」「判断力よりまず洞察力を磨け」「仕事の本質は雑用に宿る」等、20代はもちろんのこと30代以上のビジネスパーソンにとっても気付きの多い一冊である。 Get the, les hiatal hernia; when your, questions ... 続きを読む
ソーシャルアプリ入門
4月 8日 | 投稿者:編集者 | 書評『ソーシャルアプリ入門』 クスール/著 dango/著 クレイ/著 マイクロアド/著 富川真也/著 新井隆祥/著 Facebook、mixi、モバゲー、MySpace、GREEといったプラットフォームを彩るソーシャルアプリとは何か? 普段何気なく利用されている方も多いと思う。 ソーシャルアプリとはSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上で公開されているアプリケーションのことである。 ソーシャル機能があることによって、ユーザーの広がりが外部に開かれている点に特徴がある。 面白いアプリは口コミでどんどん伝わり、多くの宣伝費をかけることなくゲームが広がるので、従来のビジネスモデルを大きく覆すものである。 ソーシャルアプリの創造的破壊がもたらすイノベーションは、一種の革命の様相を呈しているが、どのように開発されているのだろうか? この書は、ソー... 続きを読む
お金の流れが変わった! -4,000兆円のホームレスマネー-
3月 25日 | 投稿者:博士 | 書評『お金の流れが変わった! 新興国が動かす世界経済の新ルール』 大前研一 著 世界的に著名な経営コンサルタントの大前研一氏が、「ホームレスマネー」をキーワードに、近年の世界的な経済情勢について分析・解説を行い、日本の成長戦略についても提言している。 今日の世界的な経済現象には「ホームレスマネー(著者造語、一般的にはホットマネー)=投資先を探して世界をさまよっている不要不急のお金」が決定的な役割を果たしている。サブプライムローン問題とリーマンショック、中国をはじめとするアジア諸国の急成長、アイスランドの破綻、さらにはナイジェリア株式インデックスの世界一の上昇(2007年)や鉱物資源・石油・食糧などの先物市場の高騰、モスクワやソフィアなどの各国都心部における10~100倍の地価上昇など、これらは全てホームレスマネーの動きに大きく起因する。ホームレスマネーは先進国の余剰資金(年金・保険金)、中東の... 続きを読む
働く君に贈る25の言葉
3月 20日 | 投稿者:店長 | ベストセラー, 書評『働く君に贈る25の言葉』 佐々木常夫/著 3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。 今回ご紹介するのは、『働く君に贈る25の言葉』です。 本書の著者、佐々木常夫氏は、2001年、同期トップで東レの取締役に就任し、2003年から2010年まで東レ経営研究所社長として活躍されました。しかし、著者の私生活は順風満帆とは程遠いものでした。初めて課長に就任した年に奥さんが肝臓病を患い、自閉症の長男を含め3人の子供を育てていましたので、毎日18時に退社しなければならないという時間的な制約がありました。やがて、奥さんはうつ病を併発し、43回に及ぶ入退院を繰り返し、3度の自殺未遂をされました。同時期に6度も東京と大阪を繰り返し異動され、大変な思いをしながら仕事を続けてこられたんだと思います。そのような状況の中、著者は「最小の時間」で「最大の... 続きを読む
これからの正義の話をしよう -ハーバードで14,000人が履修した超人気講義-
3月 10日 | 投稿者:旅人 | 書評『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』 マイケル・サンデル/著 鬼澤忍/訳 本書は、例え話や過去の出来事を巧みに用い、また様々な視点から「正義」を捉えています。「正義」という唯一無二の絶対基準があると思われがちな道徳的価値観について考察することで、人間やその生き方について考えが深まります。 合理性の高いビジネスの世界においても、重要な局面、判断において感情が与える影響は小さくありません。自分自身の感情さえ、その理由を分かっているようで分かっていないものです。他者については尚更です。本書はそれを紐解く一助となってくれます。 また、人間の成長や成熟、良心についても考える題材を与えてくれます。 改めて自分自身について考えるためにも役立つように思います。 なお、アリストテレス、カント、ベンサム、ロールズなどの様々な哲学が登場しますので、価値観の変遷が... 続きを読む