Archive for the ‘書評’ Category

経営戦略とコーポレートファイナンス

7月 16日 | 投稿者:i.takayama | 書評

                    本書は経営戦略とコーポレートファインナンスという、近年研究領域の細分化の影響を受け、別々に扱われることが多かった2つの視点から企業の経営政策について論じられている。ファイナンスや財務が苦手な人、経営戦略やマーケティング分析が苦手な人両面にとって、事案の立案~実行、結果の実例と、わかりやすい解説は今後必ず役に立つ事となるでしょう。 『経営戦略の方針と実践の進捗を総合的に評価する指標は、資本利益率であり、企業価値である。資本コストを上回る資本利益率をあげることで、企業は価値を付加することができる。』と本書の中で述べられている。 当たり前のことを言っているようではあるが、私は企業... 続きを読む

松下幸之助に学ぶ希望の哲学

5月 12日 | 投稿者:室賀 康 | 書評

本書は一代で松下電器(現パナソニック)を築き上げた松下幸之助氏 が持つ経営哲学について、松下幸之助研究の第一人者であるPHP研究所 専務取締役の佐藤悌二郎氏とアチーブメントグループCEOである 青木仁志氏が三日間に及ぶ対談で述べた本である。経営手法というより もさらに大きな概念、経営哲学について説き、実際の経営場面と照らし 合わせながら話が進むので、読み手にも理解しやすい。   この書を読み進めていくと、松下幸之助はまず第一に人の良いところを 見つけ出す能力が非常に優れていると同時に、その人が成果を出すに至 る過程について実に丁寧に経営を進めていることがわかる。 私が一番印象に残った内容は、当時松下電器の下請け工場で働いていた 職人気質の中尾哲二郎さん(松下電器の元副社長)を見て、 「いい職人だ」と評... 続きを読む

『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』 佐々涼子著 早川書房

4月 1日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評

震災から、復興から、目を背けてはいけない。改めて感じた。震災発生から工場の再稼働までを振り返る日本製紙石巻工場の物語。そこには生々しい、報道されなかったたくさんの現実があった。今でも、2011年3月11日のニュースを見ると胸が苦しくなる。津波のシーンを直視出来ない自分がいる。本を読み薦めながらその苦しさがよみがえる。しかし、ここに出てくる人々はテレビを通してではなく現実に目の前でその事態と向き合い続けて来た人々だ。それだけにその言葉は心に突き刺さる。本の紙を作るのにこれだけの苦労と物語がある事を知り、今まで以上に本に愛着が湧いた。しかも、売り上げの一部は石巻の小学校の図書購入費に充てられるそうだ。なおさら、たくさんの人にこの本を読んでほしい。そして、僕たちはもっと日々一生懸命にもっと出来ることがある。大切な事を思い出せてくれた。ぜひとも、たくさんの人に読んでほしい一冊。  ... 続きを読む

『ゲーム・チェンジャーの競争戦略 ルール、相手、土俵を変える』 内田和成編著 日本経済新聞出版社

3月 18日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評

昨今ビジネスを行う上で、「業界」という境目が曖昧になって来ている。他業種の参入や新たなマーケットの創出といった事が日常的に起きているからだ。時代の流れにあわせて形を変えて行く事が求められる、そんな中でどのようにして生き伸びて行くのか?競争のルールを破壊する戦い方を4つのタイプに分類、それぞれを具体的な事例を交え解説するとともに既存企業は今後どのようにして対応して行くべきなのかを提案している。 もちろん、明確な答えがあるわけではない。しかし、著者の類型化と解説は明快で現在、どのような企業が躍進、台頭をしているのか?時代背景を把握する上でもぜひとも一度読んでいただきたい。今後のビジネスモデルを考える上でたくさんのヒントがある。   ... 続きを読む

『内田樹の大市民講座』 内田樹著 朝日新聞出版

3月 10日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評

内田樹氏は良識の人である。   僕が内田樹氏の文章を好んで読む理由だ。   この本は、週刊誌『AERA』における2008年からのコラムを採録したもので、連載を読んでいた僕にとっては、「そうそう、こんなことも書いてあったな。」などと思い出しつつ読み進めるとともに、氏のおっしゃっていることは実は当たり前のことが多く、当たり前を当たり前に出来なくなった今の世に(残念ながら僕はそう感じている)色々と投げかけているということを改めて感じた。   現在は「eyes」とコラムの名称は変わっているが、当初のタイトル「大市民講座」というネーミングからも氏の気概は十分に伺える。   「大市民」という言葉に込めた氏の思いは以下の通り。   (以下、引用) むかし植木等が主演した「大市民」というテレ... 続きを読む

ジョゼフ・ミケーリ著 小川敏子訳「スターバックス輝きを取り戻すためにこだわり続けた5つの原則」

2月 12日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評

みなさんはスターバックスと聞くてどのようなイメージを持つだろうか。私はスターバックスと聞くと、リッチ、おしゃれといったイメージを持つ。スターバックスでコーヒーを飲んでいるというだけで一定のステータスを感じてしまうのは私だけではないだろう。 もっとも今でこそこうした確固たるブランド力を持っているスターバックスも一時はその進むべき道を見失ってしまっていた。2008年、創業以来初の赤字を記録したのである。目先の利益を追求するあまり、スターバックスというブランドを見失ってしまったことが原因だった。この危機的状況の中でCEOに復帰したハワード・シュルツが目指したのは「スターバックス」というブランドの再構築だった。「人と人とのつながりや、変わることのない関係を築くことがスターバックスの最も素晴らしいところだ。」ハワード・シュルツはこう述べている。 この再構築について著者であるジョゼフ・ミケ... 続きを読む

大竹文雄「労働経済学入門」

1月 22日 | 投稿者:T. H. | 書評

本書は労働経済学の基本的な理論を説明したものであり、基礎的な経済学ではとらえきれない労働を考える方法を提示している。本書を読み進めることで、労働市場に対する理解が深まり、年功賃金や終身雇用といった日本的雇用制度の変化や、学歴間・産業間・企業規模間・男女間で生じる賃金格差の原因などを理解することができる。 本稿では、執筆現在において話題になっているベースアップをめぐる労使間の交渉がもたらす影響について、本書を参考に述べる。雇用と賃金に関する結論は、ベースアップが達成された場合、組合のある企業の雇用者の所得向上をもたらす一方で、非組合員の失業者から就業機会を奪い、非組合員の所得低下を招きうる、ということである。 労働組合が組合に所属する雇用者の賃金引き上げだけを目標にしているとすると、組合のない競争的な労働市場であればせずに済んだ失業が発生する。これは、組合が組合員の賃金向上を求め... 続きを読む

羽生善治著「決断力」

1月 21日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評

本書は現役最強の棋士と名高い羽生善治氏の勝負術が披露されている本である。 対局後には頭の血管が膨れ上がり、頭皮が真っ赤になっていることもあるといわれる極めて厳しいプロ将棋の世界において圧倒的な成績を残し続ける天才羽生善治の勝負についての考え方は将棋の世界に身を置く人のみならず多くの一般の人にとっても参考になるように思う。 たとえば本書では知識を「知恵」に昇華することの重要性が書かれている。将棋には「定跡」という戦略のロードマップなるものがあり、戦法や戦形の知識を得るためにそれを覚えることが必須とされる。しかし羽生氏は定跡をただ記憶するのではなく、自分のアイディアや判断を付け加え、なぜそうなるのかをしっかり考えたうえでより高いレベルに昇華させていくのだという。これは「何かを覚える、それ自体が勉強になるのではなく、それを理解しマスターし、自家薬籠中のものにするーその過程がもっと... 続きを読む

『地方消滅』 増田寛也編著 中公新書

1月 3日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評

「896の市町村が消える前に何をすべきか」 「東京一極集中が招く人口減」 タイトルとともに表紙には驚くべき言葉が並ぶ。 若年女性人口の減少予測データから導き出されたデータはこのままでは896の自治体が将来的に消滅の危機にあると言う。日本の人口は2008年をピークに本格的な人口減少が進む。このまま行くと2050年には1億人を割り込み、2100年には5000万人を割るという。 日本は少子化・高齢化に加え、出産適齢期の世代が経済的理由での晩婚化・未婚化、東京圏への若年人口の流入により地方から若年世代が不在になる、など、多くの課題を抱えている。しかし、漠然としたイメージとして少子高齢化が進み「将来的に人口が減るのですよ。」くらいの認識の方は多いのではなかろうか?少なくとも、僕はピンと来ていなかった。しかし今回、危機感を持つことが出来た。 では、どのように対策をとるべき... 続きを読む

『今治タオル奇跡の復活 起死回生のブランド戦略』 佐藤可士和・四国タオル工業組合著 朝日新聞出版

1月 3日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評

佐藤可士和さんがブランディングを担当した「今治タオル」の奇跡ともいうべき奮闘記。第1部を佐藤可士和さんの視点から、第2部を地元の四国タオル工業組合の立場から書かれている。これによって、ブランディングする側とされる側それぞれの葛藤や思惑が見えてくる構成になっている。 その点教科書的なブランド戦略の本となることなく、現在、そしてこれからの「今治タオル」はどのように成長をして行くのかも楽しみな作りとなっている。もちろん、ブランド戦略の指南書としての学びも十分にある。第一にすべき事は「わかりやすさ」であり、また、何が後日ネタにつながるかは分からないのでどんなプロジェクトも主な動向は映像資料として残すべきとある。これはボク自身の課題でもある。自身が手がけるイベントは小さいながらもトレイルランニング界においては新しい試みが多い。加えて、映像部分は全くもってマンパワーが欠けており適任者がいない状況... 続きを読む

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