Archive for 3月, 2011

お金の流れが変わった! -4,000兆円のホームレスマネー-

3月 25日 | 投稿者:博士 | 書評

『お金の流れが変わった! 新興国が動かす世界経済の新ルール』 大前研一 著 世界的に著名な経営コンサルタントの大前研一氏が、「ホームレスマネー」をキーワードに、近年の世界的な経済情勢について分析・解説を行い、日本の成長戦略についても提言している。 今日の世界的な経済現象には「ホームレスマネー(著者造語、一般的にはホットマネー)=投資先を探して世界をさまよっている不要不急のお金」が決定的な役割を果たしている。サブプライムローン問題とリーマンショック、中国をはじめとするアジア諸国の急成長、アイスランドの破綻、さらにはナイジェリア株式インデックスの世界一の上昇(2007年)や鉱物資源・石油・食糧などの先物市場の高騰、モスクワやソフィアなどの各国都心部における10~100倍の地価上昇など、これらは全てホームレスマネーの動きに大きく起因する。ホームレスマネーは先進国の余剰資金(年金・保険金)、中東の... 続きを読む

働く君に贈る25の言葉

3月 20日 | 投稿者:店長 | ベストセラー, 書評

『働く君に贈る25の言葉』 佐々木常夫/著 3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。 今回ご紹介するのは、『働く君に贈る25の言葉』です。 本書の著者、佐々木常夫氏は、2001年、同期トップで東レの取締役に就任し、2003年から2010年まで東レ経営研究所社長として活躍されました。しかし、著者の私生活は順風満帆とは程遠いものでした。初めて課長に就任した年に奥さんが肝臓病を患い、自閉症の長男を含め3人の子供を育てていましたので、毎日18時に退社しなければならないという時間的な制約がありました。やがて、奥さんはうつ病を併発し、43回に及ぶ入退院を繰り返し、3度の自殺未遂をされました。同時期に6度も東京と大阪を繰り返し異動され、大変な思いをしながら仕事を続けてこられたんだと思います。そのような状況の中、著者は「最小の時間」で「最大の... 続きを読む

自由な市場経済で多くの人々はより良くなるか

3月 17日 | 投稿者:博士 | 起業家

『競争と公平感 市場経済の本当のメリット』 大竹文雄/著 (中央公論新社) 「市場による自由競争によって効率性を高め、貧困問題はセーフティネットによる所得再分配で解決することが望ましい」。これはどんな経済学の教科書にも書かれていることであり、そしてほとんどの経済学者が豊かさと格差解消を達成できると考えている組み合わせである。 それが日本では通用しない。アメリカの調査機関ピュー研究所によるグローバル意識調査(2007年)において、「貧富の差が生じるとしても、自由な市場経済で多くの人々はより良くなる」という考え方に賛成する人の割合は、多くの国で70%を超える(アメリカ、イギリスのほか、インド、韓国などのアジア諸国においても)。しかしながら日本での数値は49%であり、ドイツ(65%)やフランス(56%)といった比較的市場に対する信頼の低い大陸ヨーロッパ諸国や、中国(75%)、ロシア(53%)とい... 続きを読む

これからの正義の話をしよう -ハーバードで14,000人が履修した超人気講義-

3月 10日 | 投稿者:旅人 | 書評

『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』 マイケル・サンデル/著 鬼澤忍/訳 本書は、例え話や過去の出来事を巧みに用い、また様々な視点から「正義」を捉えています。「正義」という唯一無二の絶対基準があると思われがちな道徳的価値観について考察することで、人間やその生き方について考えが深まります。 合理性の高いビジネスの世界においても、重要な局面、判断において感情が与える影響は小さくありません。自分自身の感情さえ、その理由を分かっているようで分かっていないものです。他者については尚更です。本書はそれを紐解く一助となってくれます。 また、人間の成長や成熟、良心についても考える題材を与えてくれます。 改めて自分自身について考えるためにも役立つように思います。 なお、アリストテレス、カント、ベンサム、ロールズなどの様々な哲学が登場しますので、価値観の変遷が... 続きを読む

ビジネス書新刊エクスプレス -店長注目の今週の5冊-

3月 9日 | 投稿者:店長 | 新刊エクスプレス, 書評

『東京を経営する』 渡邉美樹/著(サンマーク出版) 4月10日に投開票される東京都知事選に向け、世間の注目が集まっています。1984年に「つぼ八」FCオーナーとして起業し、ゼロから年商1100億円を超えるグループを築いた渡邉氏のこのタイミングでの出版は、非常に戦略的だと感じます。書店で平積みにされることによる広告効果は計り知れない。どのように東京に経営的な手法を導入しようとされているのか、一読しておきたいです。 『高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人』 勝間和代/著(小学館) 勝間ファンならずとも惹かれるタイトルです。書籍の内容紹介の文脈から、版元の小学館さんや勝間さんがかなり力を入れた作品になっていると感じます。マッキンゼー出身者ならではの分析力で、成功する人に必要な要素は何かを紐解いてくれるでしょう。 『メッシュ すべてのビジネスは<シェア>... 続きを読む

憂鬱でなければ、仕事じゃない

3月 7日 | 投稿者:博士 | 電子書籍

『憂鬱でなければ、仕事じゃない』 見城徹/著 藤田晋/著 (講談社) 角川書店の名物編集者として手腕を発揮した後、幻冬舎を立ち上げて出版界の一角を占めるまでに育て上げた見城氏と、サイバーエージェントを史上最年少で上場させた藤田氏の、二人の起業家による共著です。 見城氏の格言的な言葉について、二人の思いや実例を述べるスタイルで進みます。一つの言葉につき6ページ程度で構成されており、非常に読みやすい構成になっています。 第一章~第二章では、主に自分自身について、いかに厳しく律し、鍛えるかといった、仕事で成果を出すための心構えや取り組み姿勢について述べられています。 第三章~第四章は、他者に対する接し方について、具体的な行動を挙げながら書かれています。誠意とホスピタリティの溢れる、対人的な努力としてのサービスについて、また関心、信用、貸し借りなど、他者との関係性についても述べられています。 第... 続きを読む

起業のファイナンス -起業家が知るべきファイナンスとベンチャーの生態系

3月 3日 | 投稿者:編集者 | 書評

『起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと』 磯崎哲也 著 公認会計士、カブドットコム証券社外取締役、ミクシィ社外監査役等を務める著者(磯崎哲也氏)が、起業にまつわるファイナンスについて、わかりやすい語り口でまとめている。 著者の見解では、足りないのは資金量ではなく、ベンチャーを起業してやってみようという人達やイケてるベンチャーであり、専門家のサポートも含めて、生態系を構築していくことが必要だと説く。 本書の構成として、ベンチャーや起業の現状、ベンチャーファイナンスの全体像、会社の始め方、事業計画の作り方、企業価値、ストックオプション、資本政策の作り方、投資契約と投資家との交渉、種類株式について、各章ごとに解説している。 新しいトピックスとして、種類株式が取り上げられているが、具体例を交えて、起業家と投資家の双方のメリットになるスキームのイメージを与えている。... 続きを読む

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