2012年8月、私は、東京大学本郷キャンパスの近くにある「-Social Cafe-Sign with Me」に初めて足を運んだ。階段を2階に上がり、ドアを開くと「ありがとう」「おいしかった」等、来店されたお客様がお店やスタッフへの感謝の言葉や要望を壁一面に書き込んだ大きなホワイトボードが目に入った。また、店に入るとお店のスタッフからの挨拶がなく、代わりにそばに駆け寄ってきてくれ、注文の仕方が書かれたボードを持ちながら身振り手振りで教えてくれた。 とても新鮮な感覚に包まれたことを今でもよく覚えている。ここは手話によるコミュニケーションを前提としたお店なのだ。私は、一通りの注文を済ませ、席に着き、周りを見渡してみた。笑顔で手話で話す女の子たち、美味しい食事に何気ない会話を楽しむカップル等、温かい空間の中で、ろう者も聴者も(*)それぞれ充実した時間を過ごしていた。私自身、1時間程... 続きを読む