本書は一代で松下電器(現パナソニック)を築き上げた松下幸之助氏 が持つ経営哲学について、松下幸之助研究の第一人者であるPHP研究所 専務取締役の佐藤悌二郎氏とアチーブメントグループCEOである 青木仁志氏が三日間に及ぶ対談で述べた本である。経営手法というより もさらに大きな概念、経営哲学について説き、実際の経営場面と照らし 合わせながら話が進むので、読み手にも理解しやすい。 この書を読み進めていくと、松下幸之助はまず第一に人の良いところを 見つけ出す能力が非常に優れていると同時に、その人が成果を出すに至 る過程について実に丁寧に経営を進めていることがわかる。 私が一番印象に残った内容は、当時松下電器の下請け工場で働いていた 職人気質の中尾哲二郎さん(松下電器の元副社長)を見て、 「いい職人だ」と評... 続きを読む