本書はビジネスに生かすための「読書法」について書かれた本である。「読書法」の本というといまいち想像がつかないかもしれない。大きく言えば、本書ではビジネス書を読むことの意義から始まり、本の選び方、読み方、読書後に取るべき行動について、が書かれてある。 「読書は最高の自己投資である」本書の中の一節であるが、私はこれを呼んではっとした。株やベンチャー企業への投資は結果が出るまでにある程度の時間がかかるし、そもそもマイナスになってしまう可能性もある一方で、本は読んだその日から役立つものであるし、常にプラスの方向に働くのである。本書のタイトルにもなっているように読書が100倍の利益を稼ぎ出すのである。読書を投資活動として捉える発想には驚いた。 本書で特に印象に残っているのは第4章の「呼んだままで終わらせるな!」である。これは読書後に取るべき行動について書かれた章である。私自身、良い本に巡... 続きを読む
Archive for 11月, 2014
『金持ち脳と貧乏脳 脳とお金のただならぬ関係』 茂木健一郎著 総合法令出版
11月 26日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評「お金」をキーワードにした脳科学の分析書。著者によれば、貯蓄とは「未来に対する投資」であり、不確実な人生において安心を生むものだと言う。物事を否定的にとらえて過ごすのか、楽観的にとらえて過ごすのか。ただ、貯蓄を目指すのではなく、必要なものへの投資は惜しまない。例えば、著者のボクのお気に入りの一冊『アウェー脳を磨け!』に出てくるような、「アウェーを常に求め、その為にお金が必要であれば、そのお金は惜しみなく使う」(「」内本文より引用)。といったフレーズも登場する。「お金」というフレーズが先行しがちだが、どうすればより幸せに生きる事が出来るのか?脳を鍛える事でそこへ向かう道筋は見えてくる。失敗も含め。選択と投資を積極的に行おう、その為の「お金」、そしてその有効活用のススメの書。... 続きを読む
『「ご当地もの」と日本人』 田村秀著 祥伝社新書
11月 20日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評「ご当地」、日本ならではのこの文化(と言っても過言ではないだろう)。そのレパートリーと歴史、そして今後の展望に迫るのが本書。特に「ご当地」の中でも一番存在感を示す、「ご当地グルメ」が中心的位置を占める。新書だけあって要点を簡潔にまとめてあり分かりやすい。また、「ご当地」の光と影として、課題の部分にもしっかりと触れられている。 僕の「ご当地」という言葉に対する印象は、日本にあふれている、あふれすぎていると思っている。ゆるキャラの数は数えきれない程で覚えきれない。(ゆるキャラが悪いのではないが何でもかんでもゆるキャラを作れば良いという事ではない)反面、「ご当地グルメ」のように地域性をそのまま出せるものは無理なメニュー開発をしない限り郷土の味であるし、これは大いに広めるべきだと考える。流行りものに弱い日本人。「ご当地」という言葉に踊らされるのでなく、冷静に身の丈にあった「ご当地」を発信する... 続きを読む
永井孝尚著『戦略は「一杯のコーヒー」から学べ!』
11月 19日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評セブンイレブンのセブンカフェを筆頭として今日ではほとんどのコンビニエンスストアで低価格かつ高品質のコーヒーを楽しむことができる。これまで以上にコーヒーが生活に浸透してきているといえるだろう。 本書はそうしたコーヒーブームをビジネスの観点から分析するというものである。ドリームコーヒー株式会社という架空の会社を舞台に、コーヒーについて無知であった主人公のさくらがコーヒーについての基礎知識のみならず、スターバックスやドトールなどが行ったビジネス戦略を学び、コーヒー業界の奥深さを知っていくという形でストーリーが進行していく。 さまざまなビジネス戦略が紹介される中で私がもっとも驚いたのはスターバックスの広告宣伝費の少なさである。本書によればマクドナルドの広告宣伝費の100分の1だという。確かにスターバックスのCMを思い出してごらんと言われても思い出すことはできない。これは店舗自体がスター... 続きを読む
中野剛志著「TPP亡国論」
11月 12日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評2014年内の合意が難しいと見込まれるTPPについて、それを反対する立場から書いた書籍。合意の越年が確実となったことで更にTPP参加の是非について議論が過熱すると思われるが、今なお反対派の人々の大きな支えとなっているのがこの本なのではないだろうか。 恥ずかしながら本書を読むまでは私自身TPPについての知識はあまりなく、なぜTPPへの参加がここまで議論の対象になっているのか、TPPに参加することによって何が起こるのかをきちんと理解することができていなかった。本書ではまずTPPとは何なのかについて分かりやすく解説がなされており、またFTAやEPAとの比較などが行われ、世界経済の状態についても解説が加えられていることからTPPの周辺事情についても理解を深めることができる。そして中野氏自身も述べているように本書では多くの具体的なデータが引用されており、それに基づいてTPPに参加することの問題... 続きを読む
『街場の共同体論』 内田樹著 潮出版社
11月 11日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評AERAの巻頭のコラムがきっかけで、ここ最近著者の本を特によく読むようになった。その理由は、ボク自身が感じている日々の暮らしの中での疑問や違和感、モヤモヤしたものに対して道筋をつけてくれるから。勿論、答えが用意されているという意味でなく、当たり前を当たり前として向き合い、そして取り組む。当然の事に対して真摯に向き合っている。そうか、ボクがおかしいとか不自然に思うような事は、誰も口にしないけれど本来ならば当然の疑問としてあっていいものなのだ。そういう自信(安心と言うべきか)を与えてくれる。ずっと都心で育って来た僕にとっては逗子に引っ越してからの生活は快適だ。勿論、都心の生活が悪いと言うのではない、ボクにはここが合っているという意味である。近くに実家があり、作りすぎたご飯はおすそ分けをしたり、ご近所さんから野菜をいただいたり、怪我や病気の時は看病をしたり、代わりに犬の散歩をしたり。そん... 続きを読む
グリーンスムージーレボリューション
11月 7日 | 投稿者:E.noda | 書評この本では著者のヴィクトリア・ブーテンコさんの実体験をもとに独自で生み出した”グリーンスムージー”という緑色をした飲み物の革命的な健康への効果をアメリカ、オレゴン州から伝えている書籍である。自分と家族の健康のため始めた、ローフード100%の生活の中で生み出された”グリーンスムージー”は、「おいしい」「手軽」「変化を実感しやすい」ため、誰もが続けることができる健康法であると述べている。本書では、葉野菜と果物のみで作る“グリーンスムージー”のピュアな効果を科学に説明し、かつ著者がオススメする170ものレシピが掲載され、まさに心にも体にもうれしい一冊となっている。実際にいくつかのレシピを試した感想を述べると、緑色の色からは想像も出来ない飲みやすい味であり、まさに“フレッシュ”という言葉がぴったりであった。近年、多くのメディアで”グリーンスムージー”が取り上げられたり、芸能人がブログで紹介されてい... 続きを読む
大山典宏著「隠された貧困 生活保護で救われる人たち」
11月 7日 | 投稿者:T. H. | 書評私たち一般的な市民から「隠された」貧困とは何か・・・格差の拡大についてメディアでもよく見かける話題となり、近年人々の間で共有されるトピックとなりました。私個人も貧困問題に関心があり、それなりに知っていたつもりだったので、私のまだ知らない「隠された」貧困とはどのようなものだろうと思い、手にとりました。 この本で取り上げられていたのは、児童養護施設出身者、高齢犯罪者、薬物依存者、外国人貧困者、ホームレスなど、私たちの多くが普段見て見ぬふりをしている方々です。「本人だけに責任がある訳ではない。社会の矛盾ともいうべき課題があるのも、なんとなくは想像できる。でも、それが今日明日にどうなる訳でもないから、私が考えてもどうしようもないから、だから目をそらして、『なかったこと』『聞かなかったこと』にする。」そんな普段私たちの多くが「いなかった」ことにしている方々の生い立ちと苦悩と再生を丁寧にルポしつつ、... 続きを読む