『芸術闘争論』 村上隆 著 2008年5月、ニューヨークのサザビーズで、村上隆氏による等身大フィギュア「マイ・ロンサム・カウボーイ」(1998年制作)が約16億円で落札された。本書の前著にあたる『芸術起業論』(幻冬舎、2006年)には、当時1億4,400万円で落札されたペインティング「NIRVANA」が、「日本人の一つの芸術作品としては史上最高額の価格」と書かれているので、その後の2年間で世界的評価がより一層劇的に高まったことが窺える。昨年は、賛否を呼んだベルサイユ宮殿での展覧会もあった。 自らの耳を削いでまで芸術に命を賭けたゴッホの時代と同様に、村上氏も36歳頃まで「コンビニの裏から賞味期限の切れた弁当をもらってくるような」生活をしていたという。芸術的才能が世に出るまでには長い雌伏の日々があり、加えて金余りの現代には、芸術家は豊かさとも闘わなければならず、「芸術家の実践... 続きを読む
Archive for 2月, 2011
年間4,200万円を稼ぐプロブロガーを生み出すプラットフォーム
2月 16日 | 投稿者:店長 | 書評 タグ: ソーシャルメディア『ソーシャルメディア革命 「ソーシャル」の波が「マス」を呑み込む日』 立入勝義著 本書によれば、アメリカをはじめ世界では年間数十万ドル(日本円で数千万円)を稼ぎ出すプロのブロガーが続々と誕生していると書かれています。日本でもホリエモンこと堀江氏などは、有料メルマガで年間1億円以上を売り上げていると言われますが、「知名度の高い人がコンテンツを有料化する」という流れが一般的です。一方、アメリカの場合は、認知度のない個人がブログを立ち上げ、プロとして商売が成立しているようです。 日本とアメリカでは何が違うのか。その背景にあるものが、ソーシャルメディアというプラットフォームです。 本書は、米国に在住し、自らもプロブロガーとして活躍されている立入勝義氏(ブログ『意力』を運営)によって書かれています。フェイスブックやTwitterといったソーシャルメディアツールが経済や社会、人... 続きを読む
文盲の母、山の斜面ではいつくばるように暮らした幼少の記憶
2月 11日 | 投稿者:記者 | ベストセラー, 書評 タグ: 姜尚中『母-オモニ-』(集英社、2010年6月) 姜尚中/著 政治学、政治思想史専攻の姜尚中氏は、東京大学大学院教授である。在日では最初の東大教授ではないかという。 在日二世である著者の母(オモニ)は完全な文盲だった。母は、鄙びた田舎の小作人の倅で日本に出稼ぎに行っていた父と、出生地である桜の名所鎮海(チネ)で見合いし、大東亜戦争勃発の年、再び日本に戻った父を追い16歳で新婚生活を始めた。場所は巣鴨三丁目だったという。母は日本語の読み書きができなかったばかりでなく、旧弊や植民地支配の差別の中で小学校にも行けず、民族の言葉すら知らなかった。 一方、満州事変の年に15歳で日本に渡った父は、母ほどの完全な文盲ではなかったが、どれだけの職と住処を転々としたかわからないほど、その青年期は流転の日々だったという。 1950年、著者は両親が戦後移り住んだ熊本の在日韓国・朝鮮人集落で生まれ... 続きを読む
世界人口の1割に迫る、世界最大のSNS Facebook(フェイスブック)創設物語
2月 4日 | 投稿者:店長 | 成長企業研究, 書評 タグ: facebook, ソーシャル・ネットワーク, フェイスブック『Facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男』 ベン・メズリック/著 夏目大/訳 2010年7月、ユーザー数が5億人を超えたと発表された世界最大のSNS「Facebook」創設の物語です。国連の統計によると、2010年時点の世界人口は69億人。Facebookのユーザー数は、その増加速度から考えると2011年中に6億人の突破は間違いなく、7億人、つまり世界人口の10%に迫る勢いを示しています。ユーザー数の規模が国に匹敵することから「中国(13億人)、インド(12億人)、Facebook」と言われます。 本書では、ソーシャル・ネットワークFecebookの生みの親であるマーク・ザッカーバーグ氏がハーバード大学在学中に同サイトを立ち上げるまでの経緯にはじまり、爆発的な支持を受けユーザーが広がっていく中、スタートアップベンチャーが生き残るために迫られる様々な決断と... 続きを読む