『内田樹の大市民講座』 内田樹著 朝日新聞出版

3月 10日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評
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内田樹氏は良識の人である。

 

僕が内田樹氏の文章を好んで読む理由だ。

 

この本は、週刊誌『AERA』における2008年からのコラムを採録したもので、連載を読んでいた僕にとっては、「そうそう、こんなことも書いてあったな。」などと思い出しつつ読み進めるとともに、氏のおっしゃっていることは実は当たり前のことが多く、当たり前を当たり前に出来なくなった今の世に(残念ながら僕はそう感じている)色々と投げかけているということを改めて感じた。

 

現在は「eyes」とコラムの名称は変わっているが、当初のタイトル「大市民講座」というネーミングからも氏の気概は十分に伺える。

 

「大市民」という言葉に込めた氏の思いは以下の通り。

 

(以下、引用)

むかし植木等が主演した「大市民」というテレビドラマがあった。平凡なサラリーマンがあるきっかけで、おのれの市民的責任に気づくという話であった。市井の人々は今日一日をなんとかやり過ごすことに精一杯である。でも、たまには子や孫の世代にまで想像の範囲を拡げて、自分が今なすべきことを考えるべきではないか、というのが「大市民」というドラマに脚本家が込めた思いではなかったか。とりあえず、私はそういう含意を込めて題を撰した。

(引用終わり)

 

ぜひともこの書評を読んで下さっている皆さんにも読んでいただきたいので、

オススメの項目を挙げておく。これだけあるので立ち読みは難しいであろうから、図書館で借りるなり購入するなり腰をすえて読んでいただきたい。

・「何でも食える」ことのたいせつさ

・格差論と拝金主義

・「負けしろ」なき時代の共生力

・終身雇用・年功序列の美点とは

・「顔」で従わせられない組織の「弱さ」

・「人を見る目」とは

・解釈のレベル、感情のレベル

・対話の作法

・この国に「大人」はいるのか

・「煩悩」に反応できずして武道にあらず

 

まだ、ピンと来ない方へ。以下の二語の説明で僕が何故、氏の言わんとする事に感化されているのを感じていただけるのではないだろうか?(大人と言うにはまだまだ力不足の僕がいうのはおこがましいかもしれないが)

 

大人とは「どうふるまって良いか適否の基準がない時に、適切にふるまうこと」

武士の心得とは「適切なときに、適切な場所で、適切なふるまいをする」

 

目先の利益を図るのではなく、長い目で見て次世代に何を残すべきなのか?それがいい大人であり、大市民への道ではないだろうか?毎日とは行かないまでも、たまにでも大市民を心がけるだけで世の中は素晴らしいものになる。と僕は信じる。

 

978-4-02-251234-5

 

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