ジョゼフ・ミケーリ著 小川敏子訳「スターバックス輝きを取り戻すためにこだわり続けた5つの原則」

2月 12日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評
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978-4-532-31947-2みなさんはスターバックスと聞くてどのようなイメージを持つだろうか。私はスターバックスと聞くと、リッチ、おしゃれといったイメージを持つ。スターバックスでコーヒーを飲んでいるというだけで一定のステータスを感じてしまうのは私だけではないだろう。

もっとも今でこそこうした確固たるブランド力を持っているスターバックスも一時はその進むべき道を見失ってしまっていた。2008年、創業以来初の赤字を記録したのである。目先の利益を追求するあまり、スターバックスというブランドを見失ってしまったことが原因だった。この危機的状況の中でCEOに復帰したハワード・シュルツが目指したのは「スターバックス」というブランドの再構築だった。「人と人とのつながりや、変わることのない関係を築くことがスターバックスの最も素晴らしいところだ。」ハワード・シュルツはこう述べている。

この再構築について著者であるジョゼフ・ミケーリがリーダー・パートナー(従業員)に500時間以上もの取材を通じて解き明かし、スターバックスとは一体何なのか、他の店とは何が違うのかを分析しているのが本書「スターバックス輝きを取り戻すためにこだわり続けた5つの原則」である。

本書の中で印象に残ったのは、スターバックスの店内環境についてのアプローチである。ハワード・シュルツはCEO復帰後、店舗から朝食のフードアイテムを撤去した。これはコーヒーショップの重要な感覚的要素であるコーヒーの香りをフードのネガティブなにおいが邪魔してしまうからである。この他にも店内の音楽、インテリアなど細部に至るまで上質の空間を創り出すための工夫が凝らしてあるという。素晴らしいカスタマーエクスペリエンスを実現するために環境からネガティブな要素を取り除き、ポジティブな要素を揃えるのである。細部まで手を抜かずに注意をいきわたらせることこそがスターバックスというブランドを創り出しているのだろう。

スターバックスに行きたい、そう思わせてくれる一冊である。

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