中野剛志著「TPP亡国論」

11月 12日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評
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978-4-08-720584-82014年内の合意が難しいと見込まれるTPPについて、それを反対する立場から書いた書籍。合意の越年が確実となったことで更にTPP参加の是非について議論が過熱すると思われるが、今なお反対派の人々の大きな支えとなっているのがこの本なのではないだろうか。

恥ずかしながら本書を読むまでは私自身TPPについての知識はあまりなく、なぜTPPへの参加がここまで議論の対象になっているのか、TPPに参加することによって何が起こるのかをきちんと理解することができていなかった。本書ではまずTPPとは何なのかについて分かりやすく解説がなされており、またFTAやEPAとの比較などが行われ、世界経済の状態についても解説が加えられていることからTPPの周辺事情についても理解を深めることができる。そして中野氏自身も述べているように本書では多くの具体的なデータが引用されており、それに基づいてTPPに参加することの問題点・無意味さが論じられている。

本書はTPP参加反対の立場から書かれた本であるため、TPP賛成派の人にとっては手の伸ばしにくい書籍かもしれない。しかしながら、TPP参加の是非について議論をする上で反対派の主張を理解することは不可欠なことであるから、TPP反対派の急先鋒に立っている中野剛志氏の考えが詰まった本書は賛成派の人にこそ薦めたい一冊といえる。また私のようにTPPについて知りたいけれども、何から読めばいいのか分からないという人にとっても入門書の一冊として読んでみることをお薦めしたい。

 

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