働く君に贈る25の言葉
3月 20日 | 投稿者:店長 | ベストセラー, 書評佐々木常夫/著
3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
今回ご紹介するのは、『働く君に贈る25の言葉』です。
本書の著者、佐々木常夫氏は、2001年、同期トップで東レの取締役に就任し、2003年から2010年まで東レ経営研究所社長として活躍されました。しかし、著者の私生活は順風満帆とは程遠いものでした。初めて課長に就任した年に奥さんが肝臓病を患い、自閉症の長男を含め3人の子供を育てていましたので、毎日18時に退社しなければならないという時間的な制約がありました。やがて、奥さんはうつ病を併発し、43回に及ぶ入退院を繰り返し、3度の自殺未遂をされました。同時期に6度も東京と大阪を繰り返し異動され、大変な思いをしながら仕事を続けてこられたんだと思います。そのような状況の中、著者は「最小の時間」で「最大の成果」を生み出すための仕事術を磨いてこられました。
著者は「ワーク・ライフ・バランス」の推進者です。しかし、実はこの言葉があまり好きではないと言います。バランスさせるという発想では足りない、必要なのはマネジメントの発想です。自分が望む人生を送るために、生活と仕事をどのようにコントロールしていくかが問われている、だから「ワーク・ライフ・マネジメント」が適切な言葉ではないかと言われています。
さすがの著者も奥さんが3度目の自殺未遂をされたとき、7時間に及ぶ手術を病院で待っている間、絶望感のなかにいました。「何のためにこんなに苦労をしているのか」「私の人生はどうなっているんだ」と、ほとんど自暴自棄になっていたそうです。
それでも、朝は訪れ、夜は来ます。手術を終えた奥さんが「ごめんな、お父さん、迷惑ばかりかけて」と心底情けなさそうに言うのを聞いて、「いちばん苦しんでいるのは彼女だ。私ではない」と思い至り、「何のための苦労」という「何のため」は問題ではない、自分で選んだ人生、受け入れようと、再び人生に立ち向かう気力を取り戻しました。
本書はそのような著書の人生体験に基づき、20~30代のビジネスパーソンに向けられたメッセージです。社会人になったばかりの甥の「遼くん(仮名)」に向け、その成長に合わせ、25の言葉が綴られています。
その中の一つをご紹介します。
「それでもなお」という言葉が、君を磨き上げてくれる。
著者が数年前に出会った言葉です。『それでもなお、人を愛しなさい 人生の意味を見つけるための逆説の10か条』(ケント・M・キース著、早川書房)を読んで、強い感銘を受けたそうです。難しく考えることはないと言います。日常の仕事のなかで、失敗しても、傷ついても、認められなくても、面白くないと感じても、「それでもなお」懸命に仕事に取り組み、積み重ねることで、人間として成長していくことができると。
私も「それでもなお」と、日々を生きていきたい。著者から確かにメッセージを受け取りました。
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