なぜこの店で買ってしまうのか -ショッピングの科学-

4月 24日 | 投稿者:店長 | ベストセラー, 書評
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なぜこの店で買ってしまうのかなぜこの店で買ってしまうのか ショッピングの科学

パコ・アンダーヒル/著 鈴木主税/訳 福井昌子/訳

米国エンバイロセル社の創業者でありCEOの筆者は、消費者がショッピング空間(小売店は勿論のこと、銀行、飲食店などあらゆるサービスを享受する場)において、買うあるいは買わないという意思決定をどのように行うのか、調査研究をしてきた第一人者である。

GAP、スターバックス、マクドナルド、シティバンク、ヒューレット・パッカード、ヤフー等、急進的なブランドを世界的なものに押し上げたり、大手企業の更なる成長を支えたりと影で多大な貢献をした人物でもある。

彼の研究方法は、徹底的な現場におけるフィールドワークを基礎としている。
トラッカー(追跡者)と呼ぶ専門調査員とビデオカメラにより、世界中の業種・形態の店舗で人間の行動をつぶさに観察してきた。膨大な調査データに基づいた事例から、人間の消費行動のメカニズムを紐解く鍵を知ることができる。
筆者は、消費行動における所有は、買い物客の感覚が対象をとらえようとしはじめたときに始まるとしている。品物の代金を支払った時を所有とする法的な手続きとは違うのだ。五感を通して、感覚的に対象をとらえた時点で、すでに入手へのプロセスに移行しているのである。

買い物客が早い時期に商品を手に取るほど、また買い物客が試したり、味見をしたり、試乗したりしやすいほど、その商品の持ち主が販売者から消費者へと移行しやすくなる

という。

買い物客によって「○○しやすい」という点が重要なポイントだ。
商品のパッケージの文字サイズや色などのデザイン、陳列する高さや場所、隣り合わせとなる商品との関連性や配列、通路の幅や売り場における位置などありとあらゆるものが互いに影響し合い、買いやすさが決まるのである。

それらを実際の現場で、「顧客行動分析」を行い、分析・検証してきた。そのエッセンスと事例が本書には豊富に示されている。売り場におけるマーケティング戦術を再考するのに役に立つだろう。経営においては戦略も大事だが、顧客が購買をする(あるいは、しない)
理由は現場にこそある、と改めて感じさせられた一冊である。

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