この本では著者のヴィクトリア・ブーテンコさんの実体験をもとに独自で生み出した”グリーンスムージー”という緑色をした飲み物の革命的な健康への効果をアメリカ、オレゴン州から伝えている書籍である。自分と家族の健康のため始めた、ローフード100%の生活の中で生み出された”グリーンスムージー”は、「おいしい」「手軽」「変化を実感しやすい」ため、誰もが続けることができる健康法であると述べている。本書では、葉野菜と果物のみで作る“グリーンスムージー”のピュアな効果を科学に説明し、かつ著者がオススメする170ものレシピが掲載され、まさに心にも体にもうれしい一冊となっている。実際にいくつかのレシピを試した感想を述べると、緑色の色からは想像も出来ない飲みやすい味であり、まさに“フレッシュ”という言葉がぴったりであった。近年、多くのメディアで”グリーンスムージー”が取り上げられたり、芸能人がブログで紹介されてい... 続きを読む
Archive for the ‘書評’ Category
大山典宏著「隠された貧困 生活保護で救われる人たち」
11月 7日 | 投稿者:T. H. | 書評私たち一般的な市民から「隠された」貧困とは何か・・・格差の拡大についてメディアでもよく見かける話題となり、近年人々の間で共有されるトピックとなりました。私個人も貧困問題に関心があり、それなりに知っていたつもりだったので、私のまだ知らない「隠された」貧困とはどのようなものだろうと思い、手にとりました。 この本で取り上げられていたのは、児童養護施設出身者、高齢犯罪者、薬物依存者、外国人貧困者、ホームレスなど、私たちの多くが普段見て見ぬふりをしている方々です。「本人だけに責任がある訳ではない。社会の矛盾ともいうべき課題があるのも、なんとなくは想像できる。でも、それが今日明日にどうなる訳でもないから、私が考えてもどうしようもないから、だから目をそらして、『なかったこと』『聞かなかったこと』にする。」そんな普段私たちの多くが「いなかった」ことにしている方々の生い立ちと苦悩と再生を丁寧にルポしつつ、... 続きを読む
真山仁著「グリード(上)(下)」
10月 29日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評企業買収、再生の世界を克明に描き、ドラマ、映画化もされたハゲタカシリーズの4作目である。真山氏の丹念な取材によりシリーズ全巻を通して徹底してリアリティが追求され、それが作品の面白さに繋がっている。 真山氏いわく、グリードというタイトルは、この言葉が日本人とアメリカ人の違い、さらに金融という作品の柱となるものを非常に象徴できると考えたことから付けられたものである。リーマンショックが舞台となっている本作品では、リーマンショックがよく分からないという人にとって分かりやすい解説がなされているだけでなく、真山氏なりの原因究明が行われている。 以上のような面白さもさることながら、本作品は単純にスリル満点で痛快な小説として読めるものであって、経済がよく分からないという人にも気軽に手にとってほしい一冊である。主人公鷲津政彦の生き様に憧れを抱く人も多いのではないだろうか。誰に対しても物怖じせず、... 続きを読む
小笠原信之著「伝わる!文章力が身につく本 できる人は文章も上手い!」
10月 29日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評『同県は「安心でおいしい水プロジェクト」をスタートさせたが、その際に「高度浄水処理装置」を導入した。』 上記の文章に違和感を覚える人はどれほどいるだろうか。接続助詞「が」の使い方に問題があるのだ。接続助詞の「が」は逆接にかぎって用いられるものであるため、上記の文章は「できる人」の文章とはいえないのである。このように日本語の原則的な理屈を踏まえた、相手に伝わりやすい文章を書くための手法、明日から使える文章作成能力向上のコツを具体的に教えてくれるのがこの本である。 ほとんどの人は文章の書き方を習った経験はないだろう。それゆえ世の中には伝えたいことの半分も伝えられないような「欠陥文章」が溢れている。改善したいと思っていても何をすればいいのか、自分の文章の何がいけないのかが分からないという人も多いだろう。文章の書き方を学ぶことをこの一冊から始めてみてはどうだろうか。... 続きを読む
『路地裏の資本主義』を読む。ー足下にある定常経済ー
10月 29日 | 投稿者:Ryojiro Yamamoto | 書評, 経営学ビジネス書全巻ドットコムの店主であり、走る社会学者とひそかに呼んでいる宮地藤雄氏がレコメンドしていたので読んだ本。増刷となって売れているよう。 まず、表紙の写真がとても良い。著者が生まれ育ち、最近また居を移し、仲間と働く、東急池上線の荏原中延駅の商店街だろうか。この地に今年、喫茶店も開いたのだという。「町に自分たちの根拠地をつくりたい」という理由からそうしたのだと書かれてある。「町に根拠地をつくる」。 何だろう、この魅惑的な響きは。何度でも口に出してみたくなる。「町に自分たちの根拠地をつくる」。学生時代、大学には向かわず渋谷、新宿の裏町を毎日のように彷徨った著者は、歩き疲れると喫茶店に立ち寄り、何時間でも無為な時間を過ごす。渋谷の道玄坂にあった「ライオン」という名曲喫茶に、ついには毎日入りびたり、一日中そこで過ごした。 喫茶店の対極にあるものとして描かれているのは、言うま... 続きを読む
前川聡子著「企業の投資行動と法人課税の経済分析」
10月 28日 | 投稿者:T. H. | 書評昨今の法人減税改革について、「法人税を下げれば設備投資や対内直接投資が促され、経済活性化が期待できる」や、「外形標準課税を中小企業に広げることは、中小企業の設備投資を減少させ、日本の生産性を下げる」といった論調を耳にすることがあるのではないかと思う。理論的にはこのような主張は成立し得るとは思うが、現実の経済活動でそれが本当に正しいのか、と疑うことが1度や2度はあったのではないだろうか。 本書は、このようなもっともらしく聞こえる主張を、経済学のモデルと統計学(計量経済学)に基づいて、実証分析したものである。つまり、ビッグデータを利用して、これらの主張の妥当性を検討しているのである。出版されたのが2005年で少々古いが、今日の法人税改革を批判的に考える上で、大変意義深いものである。経済学的にも、それまでは行われてこなかった手法の計量分析が多数行われており、大変興味深い。ただ、数学を用いた... 続きを読む
大竹文雄著「経済学的思考のセンス お金がない人を助けるには」
10月 27日 | 投稿者:T. H. | 書評『私たちのまわりには、運や努力、能力によって生じるさまざまな格差や不平等がある。本書は、それらを解消する方法を、人々との意思決定メカニズムに踏み込んで考えることによって、経済学の本質を分かりやすく解き明かす。』これが本書の目的である。堅苦しそうに思えたかもしれないが、『女性が背の高い男性を好む理由からオリンピックの国別メダル獲得数まで』親しみ易い内容を多く扱っており、しかも1つ1つのトピックごとに簡潔に述べられているため、経済学を学んでいる人はもちろん、そうでない方々も楽しみながら読めること、請け合いである。 重要な経済学的思考として、本書では「因果関係」と「インセンティブ重視の思考法」の2つをとりあげ、世の中の様々な現象の理解に役立てている。 「因果関係」については、イイ男は結婚しているのか?という問題の考察でも述べられている。イイ男は結婚している、という言葉を聞くと、イイ男... 続きを読む
会計入門書の決定版
10月 27日 | 投稿者:T. H. | 書評この本は、決算書を作成できるレベルほどの会計知識は必要とはしないが、財務諸表を読めるようにはなりたいというビジネスマン、投資をしたい方、学生の入門書として最適な1冊だと思う。会計知識が全くない人でもすらすら読めるということは、本書の購入当時全く知識の無かった私の経験から断言できる。 そのようにすらすら読めるようたらしめている本書の特徴は以下の3点に集約される。1つ目は、図をふんだんに盛り込み、イメージが湧きやすくなっていること。2つ目は、具体例を用いた説明であること。3つ目は、説明する順序がすべて同じであること、である。本書の多くのページは、小さな物流会社を設立した場合に行う企業活動の1つ1つに対して、どのような会計処理をするのかを、損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)の概念図とともに、同じ順番で説明されており、それまでの説明からわかっている部分は飛... 続きを読む
池井戸潤著「果つる底なき」
10月 22日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評半沢直樹シリーズで一躍脚光を浴びた池井戸潤氏の第44回江戸川乱歩賞受賞作である。著者の他の作品と比較するとかなりミステリー性の強い作品ではあるものの、他のミステリー作品とは一線を画す。江戸川乱歩賞選考委員であった阿刀田高氏はこの作品を「銀行ミステリーの誕生を宣言する作品」と称している。 著者は銀行で勤務していた経験を持ち、それゆえ銀行ならではの人間関係、銀行と企業との取引関係などが仔細に描かれている。銀行とは、銀行員とは、を教えてくれる小説であるともいえる。もっとも、この小説の面白さはこうした銀行の内幕の仔細さにあるのではなく、主人公たる銀行員の伊木という人間の描き方にこそある。善悪を判断することはさほど難しくなくとも、それを実際に行動に移すことは極めて難しい。そうした難しさがこの小説では実に巧みに描かれているのだ。主人公が巨大な敵に対して敢然と立ち向かっていく姿に勇気を与えられると... 続きを読む
池井戸潤著「ルーズヴェルト・ゲーム」
10月 22日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評本書は池井戸潤氏の直木賞受賞後第一作となる本である。ルーズヴェルトゲームとはフランクリンルーズヴェルト大統領が野球において一番面白いと考えた8対7のスコアを指し、本書ではまさにそうしたルーズヴェルトゲームのように物語が進行していく。さまざまな人物の視点からその深層心理を描いていくという池井戸氏ならではの手法がとられ、主人公らしい主人公がいないことが本書の大きな特徴である。 本書ではかつて社会人野球の名門として名を馳せていた青島製作所野球部を通した青島製作所に係わる人々の内面や心情が巧みに描かれている。プロとは異なる社会人野球という少しマイナーな世界を垣間見ることができるのと同時に、企業人の苦悩、葛藤を池井戸氏ならではの切り口で見ることができる。登場人物に自分を重ね合わせてみてしまう人も多いのではないだろうか。 野球というスポーツが媒介になることによって、読書があまり得意でないと... 続きを読む