Archive for the ‘書評’ Category

「本が売れない」というけれど 永江朗著

12月 19日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評

                  「本屋」をはじめ、「屋」がつく零細な小売業はどんどん減少している。大型店舗建設による商店街や地域の集客力の低下、後継者問題など考えられる要素は様々。ブックオフをはじめとするリサイクルショップの躍進やアマゾンのような大型ネットショップの成長。もちろん、これらも「本屋」の減少の要因になっているとは考えられる。しかし、それと「本が売れない」ということはイコールではないのではないか。商店街の集客力問題は地域経済全体の問題であり、後継者問題は本屋に限らず、小売業全体の問題である。また、リサイクルショップやネットショップの成長も同様、現象としての「本が売れない」(「本が売れない」というのは1つの現象であって、実態は定... 続きを読む

青木仁志著『クオリティ・カンパニー』

12月 17日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評

本書はアチーブメントグループCEOである青木仁志氏の実践的な経営手法について書かれた本である。 本書では、理念を体現するために組織として一貫性のある活動をすることを「理念経営」と定義付けしたうえで、その重要性が述べられている。 理念を中心とした判断をする。このように口で言うのは簡単かもしれない。しかし理念を貫くことは時には目の前の利益を手放すことを意味する。 本書の中では、理念に反する行為を行ったアチーブメントの幹部に対して離職を勧めたという例が紹介されている。この幹部は結果的に理念に賛同できないとして離職した。この幹部が離職することは大幅な売り上げダウンを意味する可能性があったにもかかわらず、アチーブメントは理念を貫いたのである。確かに一時的には利益を失ってしまうかもしれないが、理念を貫くことにより、社員の信用の獲得、社員が自社の事業活動を通して自己実現していける仕組み... 続きを読む

『経済成長という病 退化に生きる、我ら』 平川克美著 講談社現代新書

12月 5日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評

2009年春刊行だが、5年半経った今まさにタイムリーな作品として読むことが出来る。 本書のテーマは以下の通り。 (以下、引用) 世紀末からミレニアム(2000年)をまたいで2008年の金融破綻に至るまでのおよそ10年間に起こった出来事について、…むしろ、私は「何だかよくわからない」ということについて、それがどう分からないのかということの道筋を明らかにしたいのである。 今回は(今回もと言うべきか)書評の体をなしてないと指摘されるかもしれないがそれを承知で書かせていただくと、おっしゃることがいちいちもっともということが多い。僕たちは安易に原因と結果という形に当てはめて物事を分かったつもりになり、思考を停止させる。利便性を手に入れた代償として野生の力をはじめとする人間の根源的なものを差し出している。進化したつもりが実は退化の道を歩んでいるのかもしれない。 「経済成長... 続きを読む

南場智子著「不格好経営 チームDeNAの挑戦」

12月 3日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評

本書は「モバゲー」などで一世を風靡し、現在「横浜DeNAベイスターズ」を運営している株式会社ディー・エヌ・エーのファウンダーである南場智子氏の半生を描いた本である。 本書ではマッキンゼーのコンサルタントとして活躍していた南場氏がソネットの泉二社長のとある一言をきっかけに独立し、ディー・エヌ・エーが大企業へと発展していくまでの話が書かれており、またあまり一般には知られることのない貴重な苦労話が語られている。 私が印象に残ったのは人気ソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」の誕生についての話である。モバゲーの売り上げが伸び悩む中、その再起を図るために各部門の若手エースを集めて作られたソーシャルゲームのうちの1つが「怪盗ロワイヤル」であり、驚きなのはこの大ヒットゲームを作ったのは新卒5年目でそれまでゲームを一度も作ったことがない社員だったということである。この社員はかつてあるプロジェクトのリー... 続きを読む

本田直之著『レバレッジ・リーディング 100倍の利益を稼ぎ出すビジネス書「多読」のすすめ』

11月 26日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評

本書はビジネスに生かすための「読書法」について書かれた本である。「読書法」の本というといまいち想像がつかないかもしれない。大きく言えば、本書ではビジネス書を読むことの意義から始まり、本の選び方、読み方、読書後に取るべき行動について、が書かれてある。 「読書は最高の自己投資である」本書の中の一節であるが、私はこれを呼んではっとした。株やベンチャー企業への投資は結果が出るまでにある程度の時間がかかるし、そもそもマイナスになってしまう可能性もある一方で、本は読んだその日から役立つものであるし、常にプラスの方向に働くのである。本書のタイトルにもなっているように読書が100倍の利益を稼ぎ出すのである。読書を投資活動として捉える発想には驚いた。 本書で特に印象に残っているのは第4章の「呼んだままで終わらせるな!」である。これは読書後に取るべき行動について書かれた章である。私自身、良い本に巡... 続きを読む

『金持ち脳と貧乏脳 脳とお金のただならぬ関係』 茂木健一郎著 総合法令出版

11月 26日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評

「お金」をキーワードにした脳科学の分析書。著者によれば、貯蓄とは「未来に対する投資」であり、不確実な人生において安心を生むものだと言う。物事を否定的にとらえて過ごすのか、楽観的にとらえて過ごすのか。ただ、貯蓄を目指すのではなく、必要なものへの投資は惜しまない。例えば、著者のボクのお気に入りの一冊『アウェー脳を磨け!』に出てくるような、「アウェーを常に求め、その為にお金が必要であれば、そのお金は惜しみなく使う」(「」内本文より引用)。といったフレーズも登場する。「お金」というフレーズが先行しがちだが、どうすればより幸せに生きる事が出来るのか?脳を鍛える事でそこへ向かう道筋は見えてくる。失敗も含め。選択と投資を積極的に行おう、その為の「お金」、そしてその有効活用のススメの書。... 続きを読む

『「ご当地もの」と日本人』 田村秀著 祥伝社新書

11月 20日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評

「ご当地」、日本ならではのこの文化(と言っても過言ではないだろう)。そのレパートリーと歴史、そして今後の展望に迫るのが本書。特に「ご当地」の中でも一番存在感を示す、「ご当地グルメ」が中心的位置を占める。新書だけあって要点を簡潔にまとめてあり分かりやすい。また、「ご当地」の光と影として、課題の部分にもしっかりと触れられている。 僕の「ご当地」という言葉に対する印象は、日本にあふれている、あふれすぎていると思っている。ゆるキャラの数は数えきれない程で覚えきれない。(ゆるキャラが悪いのではないが何でもかんでもゆるキャラを作れば良いという事ではない)反面、「ご当地グルメ」のように地域性をそのまま出せるものは無理なメニュー開発をしない限り郷土の味であるし、これは大いに広めるべきだと考える。流行りものに弱い日本人。「ご当地」という言葉に踊らされるのでなく、冷静に身の丈にあった「ご当地」を発信する... 続きを読む

永井孝尚著『戦略は「一杯のコーヒー」から学べ!』

11月 19日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評

セブンイレブンのセブンカフェを筆頭として今日ではほとんどのコンビニエンスストアで低価格かつ高品質のコーヒーを楽しむことができる。これまで以上にコーヒーが生活に浸透してきているといえるだろう。 本書はそうしたコーヒーブームをビジネスの観点から分析するというものである。ドリームコーヒー株式会社という架空の会社を舞台に、コーヒーについて無知であった主人公のさくらがコーヒーについての基礎知識のみならず、スターバックスやドトールなどが行ったビジネス戦略を学び、コーヒー業界の奥深さを知っていくという形でストーリーが進行していく。 さまざまなビジネス戦略が紹介される中で私がもっとも驚いたのはスターバックスの広告宣伝費の少なさである。本書によればマクドナルドの広告宣伝費の100分の1だという。確かにスターバックスのCMを思い出してごらんと言われても思い出すことはできない。これは店舗自体がスター... 続きを読む

中野剛志著「TPP亡国論」

11月 12日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評

2014年内の合意が難しいと見込まれるTPPについて、それを反対する立場から書いた書籍。合意の越年が確実となったことで更にTPP参加の是非について議論が過熱すると思われるが、今なお反対派の人々の大きな支えとなっているのがこの本なのではないだろうか。 恥ずかしながら本書を読むまでは私自身TPPについての知識はあまりなく、なぜTPPへの参加がここまで議論の対象になっているのか、TPPに参加することによって何が起こるのかをきちんと理解することができていなかった。本書ではまずTPPとは何なのかについて分かりやすく解説がなされており、またFTAやEPAとの比較などが行われ、世界経済の状態についても解説が加えられていることからTPPの周辺事情についても理解を深めることができる。そして中野氏自身も述べているように本書では多くの具体的なデータが引用されており、それに基づいてTPPに参加することの問題... 続きを読む

『街場の共同体論』 内田樹著 潮出版社

11月 11日 | 投稿者:FUJIO MIYACHI | 書評

AERAの巻頭のコラムがきっかけで、ここ最近著者の本を特によく読むようになった。その理由は、ボク自身が感じている日々の暮らしの中での疑問や違和感、モヤモヤしたものに対して道筋をつけてくれるから。勿論、答えが用意されているという意味でなく、当たり前を当たり前として向き合い、そして取り組む。当然の事に対して真摯に向き合っている。そうか、ボクがおかしいとか不自然に思うような事は、誰も口にしないけれど本来ならば当然の疑問としてあっていいものなのだ。そういう自信(安心と言うべきか)を与えてくれる。ずっと都心で育って来た僕にとっては逗子に引っ越してからの生活は快適だ。勿論、都心の生活が悪いと言うのではない、ボクにはここが合っているという意味である。近くに実家があり、作りすぎたご飯はおすそ分けをしたり、ご近所さんから野菜をいただいたり、怪我や病気の時は看病をしたり、代わりに犬の散歩をしたり。そん... 続きを読む

Produced by PE&HR Co., Ltd. [PR] 成長ベンチャーの求人・転職支援サイト