南場智子著「不格好経営 チームDeNAの挑戦」

12月 3日 | 投稿者:takuya kishimoto | 書評
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978-4-532-31895-6本書は「モバゲー」などで一世を風靡し、現在「横浜DeNAベイスターズ」を運営している株式会社ディー・エヌ・エーのファウンダーである南場智子氏の半生を描いた本である。
本書ではマッキンゼーのコンサルタントとして活躍していた南場氏がソネットの泉二社長のとある一言をきっかけに独立し、ディー・エヌ・エーが大企業へと発展していくまでの話が書かれており、またあまり一般には知られることのない貴重な苦労話が語られている。

私が印象に残ったのは人気ソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」の誕生についての話である。モバゲーの売り上げが伸び悩む中、その再起を図るために各部門の若手エースを集めて作られたソーシャルゲームのうちの1つが「怪盗ロワイヤル」であり、驚きなのはこの大ヒットゲームを作ったのは新卒5年目でそれまでゲームを一度も作ったことがない社員だったということである。この社員はかつてあるプロジェクトのリーダーを任されていたものの、大失敗してしまう。通常の企業ならば、こうした社員が企業の命運を託すプロジェクトチームに抜擢されるということはないはずである。しかしディー・エヌ・エーでは「失敗は成長のジャンプ台」と捉えており、結果としての失敗が減点になることはなく、失敗に至るプロセスまでを見てその社員の能力を判断することにしているため、上述のような抜擢がなされた。さまざまな苦難を乗り越えて成長してきたからこそ「失敗」に対する捉え方がポジティブなのだろう。

また第7章においては、南場氏なりの経営に関するいくつかのポイントが語られており(「人を口説くときに心がけること」や「女性として働くこととは」など)、起業家にとっては必見の章となっている。

語り口が軽妙であり、失敗を生かす方法論を学ぶこともできるため、ビジネス書としてだけではなく、読み物としても十分面白い一冊。

 

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