『ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社』 法政大学大学院政策創造研究科教授 坂本光司著(ダイヤモンド社) <いい仕事とは>何かを教えてくれる一冊です。本書の著者は、ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者である、坂本光司氏です。全国6,300社以上の企業を視察してきた中で、「奉仕を先に、利をあとに」という精神での経営を実践し、ぬくもりのある製品、愛のあるサービスを提供し、心に響くいい仕事をしている会社を8社紹介しています。8社は、いずれも社員数30名程の小さな会社です。 例えば、顧客が朝の4時か5時、盆暮れには朝1時から行列をつくり、その風景が40年以上も続いている「幻のようかん」を製造販売する「小ざさ(おざさ)」。業界平均の年間坪あたりの売上が約231万円(2007年)のところ、1坪ほどの店舗で年商3億円超を誇ります。社長は、稲垣篤子さん。創業者であるお父... 続きを読む
Archive for the ‘書評’ Category
戦略とは、捨てることなり
12月 23日 | 投稿者:店長 | 書評, 経営学 タグ: トレードオフ, 経営戦略『トレードオフ 上質をとるか、手軽をとるか』 ジム・コリンズ序文、ケビン・メイニー著、有賀裕子訳(プレジデント社) <競争戦略>を考える際に有用なフレームワークが書かれています。企業や商品が成功あるいは失敗に至った豊富な事例をもとに、斬新かつシンプルな戦略コンセプト(概念)を提起しています。 ビジネスを成功に導くのは上質と手軽の二者択一(トレードオフ)にあるといいます。 上質とは、(得がたい)経験+オーラ+個性であり、愛されるモノやサービスです。手軽とは、入手しやすさ+安さであり、必要とされるモノやサービスです。どちらも中途半端な状態を不毛地帯と呼び、不毛地帯にある商品では市場で勝ち残れないことを示しています。上質かつ手軽を極めることは不可能で、事業は迷走し失敗するとも書かれていました。 上質か手軽を決めるのは提供者ではなく、消費者です。年齢層、所得、地域などによって... 続きを読む
プレゼンの極意ここにあり
12月 16日 | 投稿者:店長 | 書評 タグ: アップル, コミュニケーション, スティーブ・ジョブズ, プレゼン人に伝えるということについて考えていたとき、真っ先に浮かんだ経営者がスティーブ・ジョブズです。ジョブズのプレゼンテーションはなぜ魅力的なのでしょうか。ジョブズがスタンフォード大学2005年の卒業式で行った伝説のスピーチを久しぶりに聞きたい衝動に駆られ、YouTubeで検索してみました。聞いたことがない方は、下記をご参照ください。 今聞いても心が動かされます。人々を魅了してやまないジョブズのプレゼンテーションを分析した本があります。『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン - 人々を惹きつける18の法則』です。 「今日、アップルは電話を再発明する」 「iPodはガムより小さくて軽いんだ」 「iPhone 3G。速度は2倍、価格は半分」 「マイクロソフトが抱えている問題はただひとつ。美的感覚がないことだ。足りないんじゃない。ないんだ」 スティー... 続きを読む
電子書籍戦争の火蓋
12月 9日 | 投稿者:店長 | 書評, 電子書籍 タグ: アップル, アマゾン, スティーブ・ジョブズ, ソニー, 電子書籍2010年は、電子書籍普及元年と言われますが、電子書籍端末を提供する6社の競争が激化しそうです。 電子書籍 群雄割拠、6陣営激突 ソニーは専用端末(11/26 Yahooニュースより) 国内で電子書籍のニュースが盛んになったのは、今年5月に発売されたiPadの上陸が決まってからです。以降、米国で先行するアマゾンのキンドル、ソニーのReader、アップルのiPadの動向と国内の有力メーカーがどのように対抗していくのか、マスメディアの注目を集めています。 電子書籍が業界に与えるインパクトや今後の電子書籍の発展について知るには、「電子書籍の衝撃全巻」からピックアップをご覧いただけると良いと思う。佐々木俊尚氏の『電子書籍の衝撃』、大原ケイ氏の『ルポ電子書籍大国アメリカ』あたりを軸に、業界について、各種端末について、インフラについて等、関心に合わせてまとめ読みされると理解が... 続きを読む
マネジメントの父、ドラッカー
12月 2日 | 投稿者:店長 | ベストセラー, 書評, 経営学, 電子書籍 タグ: もしドラ, ドラッカー, ベストセラー160万部を軽く超えなお売れ続けている『もしドラ』をはじめ、ここ数年でドラッカー関連の著書が注目を浴びています。 イトーヨーカ堂の創業者で現在はセブン&アイ・ホールディングスの伊藤雅俊名誉会長、パナソニックの中村邦夫会長、ユニクロの柳井社長、国外ではグーグルのCEOエリック・シュミット氏をはじめ、多くの経営者がドラッカーを読み、そのエッセンスを経営に取り入れています。 週刊ダイヤモンド11月6日号では、「みんなのドラッカー」という特集が組まれています。上述のパナソニックの中村邦夫氏をはじめ、スクウェア・エニックス社長の和田洋一氏、資生堂名誉会長の福原義春氏等により、ドラッカーの思想の深さが語られています。 ピーター・ドラッカー全巻 ドラッカーに影響を受けた経営者の本も気になるところです。関連の全巻をご紹介します。 伊藤雅俊全巻 柳井正全巻... 続きを読む
司馬遼太郎が紡ぐもの
11月 29日 | 投稿者:店長 | ベストセラー, 書評, 歴史小説 タグ: 司馬遼太郎, 坂の上の雲, 坂本龍馬, 竜馬がゆくNHK大河ドラマ「龍馬伝」の最終回が11月28日(日)に放映されました。龍馬伝については既にご存知だと思いますが、坂本龍馬の生涯を岩崎弥太郎の視点から描くという斬新なアプローチと主演の福山雅治をはじめとするキャスティングが人気を博しました。ドラマや映画の人気と合わせて、原作の小説やコミックの販売部数が伸びるものですが、龍馬伝は原作がなく、福田靖氏という脚本家が書いたオリジナルの作品です。福田氏は、救命病棟24時シリーズ(フジテレビ)、ガリレオ(フジテレビ)、映画の海猿などを手がけている敏腕脚本家です。福田氏が大学時代に夢中になって読んだ本が、司馬遼太郎著『竜馬がゆく』とのことで、龍馬伝の脚本を書くにあたってベースとなった本であることは間違いなく、その違いを楽しむことができます。 NHKでは、12月5日(日)から毎週日曜、年末にかけて、スペシャルドラマ「坂の上の雲」第2部(全4... 続きを読む