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インタビューバックナンバー
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嶋田毅氏インタビュー
[更新日2010/07/14]
「創造と変革の志士たち ~人をつくり、知恵を広げる~」第2回
聞き手 / PE&HR株式会社 代表取締役 山本亮二郎
 株式会社グロービスは、1992年の創業以来、「ヒト」「カネ」「チエ」のビジネスインフラの構築を掲げ、成長発展を続けています。「チエ」にあたる出版事業の出版局長兼編集長を務める嶋田毅氏に、累計120万部を超えるロングセラー『グロービスMBAシリーズ』(以下、MBAシリーズ)の誕生秘話や今後の出版事業の戦略、ご自身の近著『利益思考』、同社の成長を支えるカルチャーなどについてお聞きしました。
■コンテンツをより多くの人に届けるチャンス
― 初期の頃は、受講生の方も執筆に関わられていたとお伺いしました。受講生が関わるときは、どのようなやり方をされていたのでしょうか。
 そうですね。特に初期の頃は受講生の方の力もお借りしました。最近は専任教員がだいぶ増えてきたので、受講生の方が絡むパターンはそれほどありません。しかし初期の頃は、レバレッジというと変なんですけれども、なるべく社内の人間はプロデューサーに徹して、外部の人の力をうまく活用していました。やはりベンチャーなので、たくさんの人を採用できるわけではありませんでした。そのため、よりプロデューサー的なやり方をしていたんです。
 当時、講師の90パーセント以上が外部の人間だったんです。社内では、堀がベンチャーのクラスを担当するくらいでした(※4)。その後、どんどんビジネスが大きくなってきて、財務基盤が安定してきたので、いわゆる社員講師が増えました。今では、およそ30パーセントが社内になっていますので、本当に大学院らしく、会社の中である程度しっかりと教えられる人間や書ける人間が増えてきています。
 初期の頃のグロービスは、良くも悪くも海のものとも山のものともつかないベンチャー企業です。そのような企業がやっている教育サービスを、高いお金を払って受けに来ていただける、非常に能力開発への問題意識が高い受講生がいたんです。ちなみに、冒頭でお話をした弊社が初めて書き下ろしたベンチャーの本をつくるときに、執筆に参加した人間に仮屋薗(※5)というものがいます。彼の場合、最初は受講生だったわけですが、実際にベンチャーキャピタル部門を立ち上げる際に社員として入社し、堀と二人でまわしていきました。当時の受講生でプロジェクトに関与した方のなかには、弊社にジョインしたり、それこそ起業したりする方がいて、あちこちのフィールドで活躍しています。
― 現在、嶋田さんが責任者をされている部門で取り組もうとされているテーマがありましたら教えていただけますでしょうか。
 私は主に紙の部分を担当しています。オンライン経営情報誌のGLOBIS.JPの編集顧問も兼務していますが、ウェブは広報が主に担当しています。
 紙といっても、そろそろ電子書籍(※6)についてどうしていこうかと、非常に悩んでいるところです。弊社の場合、ダイヤモンド社であったり、東洋経済新報社であったり、PHP研究所であったり、版元さんに著者としてコンテンツを提供して、版元さんから出版していただいています。電子書籍になると、版元さんとの絡みをどうするかという点があります。どういう仕組みでやっていくかは、全然確定していないんですけれども、より多くの人に、我々のコンテンツを届けるいいチャンスだと思っているので、そこは最大限に活用していきたいです。それなりの料金をいただきながら、一方ではたくさんの方に読んでいただくためのやり方を模索したいですね。
 今の段階でなかなかはっきりとは言いにくいんですけれども、電子書籍を積極的に、上手く活用していくことは、今年度の大きなテーマです。今でも『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』などは、iPhoneで配信されていますけれども、実際iPadも発売されましたし、Kindleなどの端末の日本語環境が、早ければ秋冬にはできてくるでしょうから、対応について検討を重ねています。
 あと2~3年後ぐらいには、グロービスに来るような意識レベルの高いビジネスパーソンでしたら、かなりの比率でiPadのような端末を持っていて、そこで本だけじゃなくて、ケーススタディであるとか、雑誌であるとか、いろいろなものをヒュンヒュンと開いている、そんなシーンを想定しています。それに向けて我々としてどうするかということを、今年から来年にかけて準備していきたいと思います。
― その場合は、ある意味出版社そのものにもなっていかれるということでしょうか。
 可能性はあります。今の段階ではまだ断言はできないんですけれども、出版社「的」というイメージです。音楽でもそうで、自分でプロデュースもできるアーティストは、極端に言えばレコード会社がなくてもそれなりにやっていけますよね。我々として、どこまで出版社的なファンクションを果たすかは別として、そういうことができる時代にはなってきています。その中でどういうポジションでやっていくのか、まさに検討中です。
■MBAシリーズを書くことへのこだわり
― MBAシリーズはどのような手法でつくられているのでしょうか。
 MBAシリーズについて言えば、基本的に口述筆記などはやっていないです。自分たちで書いています。グロービスの職員や専任教員の方には、アカデミックなバックグラウンドの方もいらっしゃいますが、中心は実務家の方に執筆いただくパターンです。例えば、アカウンティングの本は、最初に西山茂さん(※7)と作りました。今は早稲田のビジネススクールの教授になられましたけれども、十何年前に作ったときは、トーマツの現役の公認会計士をされていて、弊社の講師もやっていただいていました。西山さんと教科書を作りましょうという話をして、本当にお忙しい中だったんですけれども、合間を縫って書いていただいたんです。彼がどんどん文章を書いて、私の方で編集して、最終原稿にしていきました。受講生の方には、データ集めやケース作成とかを手伝ってもらったりもしながら、本をつくりあげていったのです。
 特に初期の段階では、物書きのプロではない方が多かった。今でも多少は悩んでいるところでして、コンテンツを持っている人が必ずしも文章が上手いわけではないんです。最近は、本によってはライターさんを入れて、少し速度を上げようとしています。でも、MBAシリーズは教科書ということもあって、ライターさんには負荷が大きいかなと感じます。例えば、起業家の方の半生記だとか、私の信念はこれだという類のものでしたら、比較的ライターさんは書きやすいと思います。テクニカルターム(専門用語)や専門領域のことを話して、それを文章に落とせるライターさんを探す方が大変なわけです。そのため、複数で分担したときは文体合わせとか非常に手間がかかるんですけれども、多少時間はかかっても自分たちで書くようにしています。
― 堀さんの本はどのようにされているのでしょうか。
 堀は、本を出すときに全部自分で書いています。文章を多少ブラッシュアップすることはやっていますけれども、基本は全部書いています。大体、経営者の方が本を出されるときは、口述が多いのではないでしょうか。そう考えると、自分で書くのは大したもんだなと思います。『人生の座標軸』はブログを元にしていますから、そもそも堀が書いたものがベースになっています。『創造と変革の志士たちへ』は堀が今まで考えていたことを読者に伝えたいということで、夏休みに文章を書き綴ったものです。自分で書くことへのこだわりが非常に強いと思います。
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※4 1992年に単科目の学校として始まったグロービスは、2003年4月から開始したオリジナルMBAプログラムの「GDBA」で新たな時代を迎え、2006年4月の経営大学院開学により更なる進化を遂げた。グロービス経営大学院開学後、学長に就任した堀義人氏は、自ら「企業家リーダーシップ」科目の講師として教鞭をとっている。
詳細は、同大学院 教員紹介ページを参照。
※5 現在、株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズのパートナーを務める仮屋薗聡一氏。同社において、堀氏とともにベンチャーキャピタル事業設立を推進した。
※6 電子端末で読めるようにした出版物。携帯電話、PC、専用端末で読むことができる。電子書籍については、下記を参照。
※7 早稲田大学 大学院商学研究科(ビジネススクール)教授。監査法人トーマツを経て、現職。主著に『企業分析シナリオ』『入門 ビジネス・ファイナンス』などがある。
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