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永田豊志氏インタビュー
[更新日2011/02/25]
「革命的フレームワーク『図解思考』 ~知的生産性を高め、人々に貢献する~」第4回
聞き手 / PE&HR株式会社 代表取締役 山本亮二郎
 2010年、ASPアワードグランプリを獲得した成長ベンチャー、株式会社ショーケース・ティービーのCOOであり、『図解思考』『最強フレームワーク』などのベストセラー作家でもある永田豊志氏は、仕事の効率化を図る手法を研究する知的生産研究家として多くのビジネスマンに支持されています。インタビューでは、日々の経営や仕事に『図解思考』をどのように活かしているのか、アイデア・新規事業を生み出す秘訣についてお話いただきました。
■図にすることで初めて問題を可視化できる
― 現在、ショーケース・ティービー社のCOOとして数多くの新規事業の開発にも携わっていると思いますが、実際のビジネスの現場で「図解思考」や「フレームワーク」をどのように活用されているのか教えてください。
 ショーケース・ティービーは、ウェブマーケティングの会社です。自社のホームページで顧客を獲得したいという企業に対して、それをより効率的に行えるようなツールを提供しています。
 社内で商品を開発する部門もありますし、それを営業する部門もありますし、制作やコンサルティングを担う部門もあります。例えば、営業現場では「図解思考」とか「フレームワーク」とかを課題抽出や対策検討の場面で活用しています。なかなか成績が上がらず結果が出ない時に、結果の数字や個別のお客様の話だけをしても根本的な解決にはならないんです。
 そのため、お客様のリストアップから受注後の納品フォローまでの営業プロセスを図にしてみて、逆から考えていくようにしています。どういう確率で1件の受注ができているのか調べた上で、受注目標に対して、商談、アポイント、アプローチが何件必要なのか考えると、目標到達のためには見込み客のリストがどのくらい必要だということが言えますよね。
 営業といっても、電話をかけるのが得意な人もいるし、電話は嫌いだけど商談にいったら必ず決めてやるという人もいます。人によって得意不得意がありますので、「得意なプロセスに集中して、得意じゃないプロセスは他の人に任せよう」とか「外部にアウトソーシングするという組み合わせも考えられる」とか、図にすることで初めて課題が可視化できるようになります。組織やプロセスの問題点を理解して解決に導くために、図解にしたりフレームワークに落とし込んだりすることはとても重要なので、みんなに勧めていますし、実際に課題の抽出をするためにみんなが図解をホワイトボードに書いて共通認識を持つように努めています。
― 新規事業についてはどうでしょうか。
 新規事業はさらにもう少し上位のアプローチが必要です。いわゆる会社のグランドデザインとして、会社のビジョンと新規事業の方向性が合っているということ、新しい事業によって数字的にもブランド的にも会社がより成長できるようなものであることが大前提になります。
 その上で次にやることが、売れる商品をつくることです。マーケティング的な観点から、どれくらいの母集団がいて、その中のどの層をターゲットに置くと最もパフォーマンスが高いのかということを判断する時は、「市場分析のフレームワーク」が役に立ちます。また、商品としてどんな機能をつけるか考える時は、「発想のフレームワーク」が役に立ちます。様々なフレームワークをフル活用しています。
■革新的アイデア、資金的背景、グローバルマーケット
― 「現実」「理想」そしてそのギャップを埋めるのが「提案」という図解思考の基本構図に当てはめると、ベンチャーの最前線で経営をされていて、日本のベンチャーの課題はどのあたりにありそうでしょうか。何がどう変わるとより良くなるとお考えでしょうか。
 発展途上の経営者の分際で、ベンチャーについてとやかくお話するのはおこがましいのですが、課題は3つあると考えています。
 1つ目は、ベンチャーだからということではなく、日本企業全体に言えると思いますが、個別の機能改善や部分的な最適化をするサービスや商品が多く、ユーザートータルのメリットや満足度を考えたサービスや商品が少ないと思います。いろいろな雑誌や本でも言われていますが、例えば、なぜソニー(*13)のウォークマンがiPodに市場を奪われたのかということに象徴されています。顧客は、音質や電池の持ちが良いことではなくて、「手軽にいつでも音楽を楽める」「いつでも安く買えて、持ち運べる」という価値を欲しています。アップルは、iPodという再生機だけではなくて、iTunesを通じて楽曲も購入できるようにし、著作権保護とか細かい話には固執せず、そこはユーザーの責任においてやるということにして、どんなフォーマットでも取り込めますよという利便性を優先させたわけです。我々は顧客のことを考えているとみんな言いますが、いろいろなしがらみとか現状の課題とかを優先させていて、実は意外に考えていないことが多いのかなと思います。先程お話したように、アップルやグーグルなどの素晴らしいアイデアは既得権益を粉々にするところからスタートしていますので、そういった覚悟と決意、戦い方をしていくことが必要だと思います。
 2つ目は、革新的なことをやるには、大企業は別として、日本のベンチャーの場合はお金が足りないということです。アマゾン(*14)にしろ、YouTube(*15)にしろ、巨額の赤字を数年にわたって流し続けても事業を継続できましたが、日本のベンチャーがそのような資金的なバッググランドを持つのはなかなか難しいのが実情です。そのため、今できる範囲のことからのスタート、いわゆるスモールスタートになるので、リスクも少ないんですが、当然リターンも大きくないということになると思います。
 その理由として、言語や文化的な障壁のためにグローバルマーケットにリーチできていないということが大きいです。これは3つ目の課題でもありますし、ベンチャーに限ったことではないのですが、スモールスタートであってもマーケットがグローバルであれば、得られるリターンもかなり期待できると思います。しかし、ほとんどの企業が「まず国内で。上手くいったら海外へ」という話になりがちなので、得られるリターンは非常に小さいですし、国内が成功してから海外にという順番だと、時機を逸してしまいかねず、むしろ海外に行くチャンスが少なくなるのではないかと思います。そこがアメリカとの違いです。例えば、シリコンバレーで新しいサービスをつくったら、その企業がどんなに小さいブティックカンパニーだとしても、世界中の人にリーチできますので、そういうスケールとはかなりギャップを感じます。楽天(*16)さんが社内公用語を英語にすることに取り組んでいるように、日本企業全体でもっと意図的にやっていけば、世界のマーケットにリーチできるようになると思います。
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*13 ソニーについては、下記の全巻を参照。
*14 ジェフ・ペゾスが1994年に創業。アマゾンについては、下記を参照。
*15 PayPalの従業員であったチャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリムらが2005年2月にカリフォルニアで設立。インターネット動画共有サービスを提供している。2005年11月、米国大手VCセコイアキャピタルから350万ドルを調達して、同年12月よりサービスを開始。翌年、グーグルが16億5000万ドルの株式交換で買収した。動画共有サイトで最大手のサービスである。
*16 三木谷浩史が1997年に創業。インターネットショッピングをはじめ、様々なサービスを提供している。楽天については、下記を参照。
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