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インタビューバックナンバー
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浜口隆則氏インタビュー
[更新日2013/06/27]
「起業の専門家が追求する未来 ~起業家を増やし、社会を幸せにする~」第3回
聞き手 / PE&HR株式会社 代表取締役 山本亮二郎
 株式会社ビジネスバンクグループ代表取締役であり、『戦わない経営』『社長の仕事』『エレファント・シンドローム』などの著者でもある浜口隆則氏は、起業家向けオフィス「オープンオフィス」を立ち上げ、レンタルオフィス業界を作ってきました。2012年、新たなステージに向かうためにオープンオフィス事業を譲渡。現在は起業家教育事業をはじめ、起業を総合的に支援する事業を展開されています。インタビューでは、創業から現在に至るまでどのような思いでどのように事業を発展されてきたのかお話いただきました。※本原稿は、2013年5月20日に行われたインタビューに基づき作成しています。
■自己成長に対する危機感から事業を売却
― 2012年7月に「オープンオフィス」事業を売却されました。かなり大きな決断だったのではないかと思います。売却を決めた背景を教えていただけますでしょうか。
 売却を決めた理由は大きく3つあります。
 1つ目は、メンバーの一人ひとりが自己成長をしなくなってきているのではないかという危機感を覚えたからです。起業支援をしようと決めて会社を創業した当時から、安定した収益が見込める事業を柱の一つにすることが理想でした。すでにお話した通り、オフィス事業を軸に高収益で安定した状態を作ることができたのですが、あまりにも安定しているために、平和ぼけしているような状態になっていました。その間に、起業家を対象とした教育や会計など新しい事業にも取り組み、サービスを増やすことができたわけですが、自己成長と社会貢献を一番大事にしているにも関らず、さほど自己成長が感じられなくなっていたことに大きな課題を感じていました。
 2つ目の理由は、創業以来、私達の役割は「起業環境を整備する」ことであって、オフィスの仕事をすることではないという考えでやってきたことに由来します。オフィスは、ワンオブゼムと言うか、たくさんある起業支援の一つで、勿論、起業家にとってもすごく大事なことだと思います。しかし、もしオフィス事業をしていることで、他の事業が進まないのであれば、思い切って手放そうと思ったのです。
 3つ目は、これ以上私達が続けなくても、起業家向けのオフィス業界は少しずつ大きくなっていくと確信が持てたので、もう私達がいる必要はないのではないかと思ったからです。まだ誰も目を向けていないこととか、不足している起業環境を整える仕事とかに力を注いだ方が良いと思いました。
― 経営者が事業売却を判断する場合、市場が頭打ちで売上がピークを迎えているとか、競合環境が厳しくなって自分たちだけでは勝てないということが理由になることも少なくないと思いますが、事業を成長させることができたのに売却されたのですね。
 そのように思うところも少しはありましたが、大阪でも福岡でもやろうと思えば出来ましたので、オフィス事業は、まだまだいくらでも伸ばせると思っていました。
 一方で、オフィス事業を続けていると、どうしても他の事業が疎かになっていきがちでした。オフィス事業は割と簡単な事業だと思われるのですが、装置産業のようなもので、商材として大きいですし、結構手間がかかるんです。また、電力会社などと一緒でインフラですから、サービスの供給を切らすわけにはいかないんです。それでも、私にもっとリーダーシップがあれば、オフィス事業をさらに成長させながら、他の事業も平行して伸ばすことが出来たと思います。
 実は、5年くらい前にも、売却について打診を受けたことがありました。そのときは、他の事業と平行してオフィス事業をやり続けるべきだと判断して売りませんでした。当時、すでにスクール事業などを立ち上げていたのですが、昨年売却をするまでに、自分自身の意識を変えることはできても、自分以外のメンバーの意識を変えることが難しかったのです。
 オフィス事業を売却した後も、役員も社員も全員残りました。売却によって、売上の85%くらい、粗利では80%くらいがなくなったので、会社としては一時的に厳しくなりましたが、他の事業が大きく前進し、良い方向に向かっています。
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