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レバレッジシリーズをはじめ、著書累計150万部を超えるベストセラー作家の本田直之氏。
本田直之氏インタビュー
[更新日2010/03/27]
「無名の個人の時代 ~ビジネス書を読み、ビジネス書を書く~」第3回
聞き手 / PE&HR株式会社 代表取締役 山本亮二郎
 レバレッジシリーズをはじめ、著書累計150万部を超えるベストセラー作家の本田直之氏。著者のプロデュースも行っており、合計40万部を突破している。本田氏は「無名の個人の時代(※1)」や「時代のうねり」をどう捉えているのか。本田流仕事術からライフスタイルまでお伺いしました。
■売れるビジネス書のポイントは「プロフィール」にある
―プロデューサーにはどのような能力が求められるのでしょうか。
 基本的には編集者と同じ能力が必要です。ただ、普通の編集者は著者を見つけることができないけれども、僕は著者の発掘ができるから、編集者ではなくプロデューサーなんですよね。
 『パーソナル・マーケティング』にも書いた、僕の友人で四角大輔さん(著書『やらなくてもいい、できなくてもいい。 人生の景色が変わる44の逆転ルール』)という、綾香やスーパーフライなどを手掛ける音楽プロデューサーがいるのですが、彼は自分で発掘してきて育てています。綾香もデモテープを聴いて、そこから発掘した。他のレコード会社だったら、いまいちの反応だったと思う。でも、四角さんは2人とも発掘してミリオンにしたという、とんでもないプロデューサーなんです。彼に「何で出来るの」って聞いたら、声を見抜く力があるんだと言うのです。歌手は声で決まります。声質が良ければ、絶対に売れる。例えば、ファッションがダサいとか顔がかわいくないとか、そんなものはどうにでもなる。ジャケットの写真も100万枚撮れば、絶対に1枚はいい写真が撮れる。音痴も直せる。今はトレーニングと技術がいいから、ブレを直せる。ただ、声質だけは絶対に変えられない。
 彼は、何がキーサクセスファクターかということを分かっているんです。それは、声だと。他のものを一切見ない。他のプロデューサーは、歌がうまいとか、いい詩書いているとか、そっちを見てしまうかもしれない。でも、彼は声しか聞かない。他のものを一切判断しない。顔もみない。テープだけで判断すると言います。
―すごいですね。たくさんの要素があると思うのですが、ビジネス書のプロデュースでは、一言で言うと何が一番重要なのでしょうか。
 僕は本人の「プロフィール」だと思う。何をやってきた人なのか。やっぱりそれで人生表れるじゃないですか。この人はどういう人間なのかなって。プロフィールにエッジが思い切りたっていて、面白みがある人は、極論言うと何を書かせても面白いものになる。例えば、医者でトライアスリートとか。海外には結構いるみたいだけど、日本ではそんな人ほとんどいないじゃないですか。あるいは、四角さんみたいに生涯で2,000万枚プロデュースをして、ワーナーを辞めて引退したんだけど、プロのフライフィッシャーでもあり、今年からニュージーランドに移住してデュアルライフを始めている。そういうプロフィールを聞くと、面白いじゃないですか。なんでも良いから聞かせてよってなるでしょ。その中で、どのコンテンツを中心に据えるかがポイントです。プロフィールだけで面白いなって感じる人だったら、間違った方向に導かなければ、あとはプロデュース次第だと思います。
―プロフィールの中にコンテンツがあるということですね。
 ある意味、そうですね。面白い人生を送っている人には、何かありますから。たまたまそうなりましたという人はあまりいないじゃないですか。「何で君はこうなってしまったの」という所だけ見ても面白いと思います。ベンチャーの経営者でも、プロフィールにエッジがたっている人は絶対書ける。そういうものがない人は難しい。今取り組んでいる事業をまずは成功させて、プロフィールを面白くした方が良いかもしれないですしね。
ラ・ターシュ、ロマネ・コンティなど本田さんこだわりのワインを見せていただきました。本田さんは、日本ソムリエ協会認定のワインアドバイザーの資格もお持ちです。
■面白い本の条件
―最近、私たちの投資先も結構本を書く経営者が出てきました(※7)。本田さんはバックスグループの役員でいらした頃は上場企業の経営をしながら本を書こうと思われなかったのでしょうか。
 いや、本を書きたいなと思っていたんですけど、あのタイミングで出しても多分駄目だったと思います。やっぱりピンで立っていないと、魅力が薄くなってしまいます。どこかの会社の役員っていうよりも全然知らない個人のほうが本を売るには良い。会社に紐づいて、例えばクックパッドの本がありますと言ったら、ライターの人が本を書いて、その人の名前で本を出します。会社のことについて書かれた本だから、それはそれで良いのだけれど、ものすごく面白い本は、ピンでたっている人か著名な経営者しかない。どこかの企業に勤めていると、会社のことを出さないわけにはいかないでしょ。それよりは、無名の個人の方が断然有利だと思います。だから、辞めてから書いたほうが本としては良いと思うのです。例えば、バックスにいた時に『パーソナル・マーケティング』の本を書いたとしたら、「これバックスの事業と全然関係ないでしょ」ってなるだろうし、「なぜあなたがこの本を書くんですか」ってところから疑問符がついてしまうわけです。
 本は、内容も然りなんですが、「なんであなたはこの本を書いているのか、その根拠は何なのか」ということが必要になってくる。バックスの経営をやっていて、会社がうまくいっているから経営の本を書くというのも良いと思うのですが、本としては楽しくないじゃないですか。でも、辞めた後に、こういう会社を上場させて、今こういうことをやっていますよってなると、もっと面白くなると思います。例えば、楽天の三木谷さん(※8)が書けば面白いけど、ナンバー2やナンバー3が書いても面白くない。けれども、その人たちが楽天を辞めて、新しいことをやって本を書いたらすごく面白いと思うのです。中途半端に色が濃いとそっちの色が強くなってしまうし、少しは売れるかもしれないけれど、爆発的な本にはならないのではないかと思います。
※7 参照
※8 参照
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