永田豊志氏インタビュー
[更新日2011/02/11]
「革命的フレームワーク『図解思考』 ~知的生産性を高め、人々に貢献する~」第2回
聞き手 / PE&HR株式会社 代表取締役 山本亮二郎
― 実際の手帳やメモを見せていただいてもよろしいでしょうか。
これは打ち合わせメモの例ですね。ある研修会社さんに、当社のマネジャー研修をお願いするときに、どのような形でやってくださるのか聞き取ってメモしたものです。
ちなみにご紹介をした5冊は連携していまして、基本的には知的生産性といいますか、優れた結果をより少ない時間で出していくためにどうしたらよいかということをお伝えしています。考え方の枠組みだったり、情報の整理の仕方だったり、具体的な行動計画の立て方だったりをそれぞれまとめたものになります。
― この全体像は最初の頃から見通して出版されたのでしょうか。
全然そんなことはないですね。やりながらテーマが膨らんでいきました。私自身が元編集者なので、どういう本が売れるのかという分析を含めて企画をたくさん考えます。タイトルやレイアウトも自分で考えるのですが、企画のテーマ設定を考えていく中で範囲が広がっていったのです。
― 5冊の中で一番売れているのは『頭がよくなる「図解思考」の技術』でしょうか。
そうですね。今7万部ぐらいで、14刷されています。
ビジネス書の世界では、1冊出しても数千部で終わるのが当たり前と言われていますので、まずまず売れていますね。私としては、部数もさることながら、過去に出した本を定期的に読んでいただけているということが一番うれしいです。やはり一過性のブームで終わらせたくないので、自分なりに考えたメソッドを実際のビジネスシーンや生活で使ってもらえていると、みんなと共有するという出版の目的が果たされてうれしく感じます。
また、どの本も台湾と韓国でも出版されていまして、韓国の読者からお便りをいただくこともあります。クレームも激励も直接聞きたい派なので、著書にはメールアドレスを公開しています。
― 「図解思考」を読みますと、世の中のあらゆることはすべて四角と矢印で表現できるという革命的なことを言われていますが、少し噛み砕いてご説明いただけますでしょうか。
昔から、難しいことを難しく言う人は物事を本当はよく分かっていない人だと思っていまして、難しいことをいかに分かりやすく伝えることができるかが、とても価値のあるスキルだと考えていたんです。お茶の間では池上彰 さんがまさにその良い例だと思いますが、難しいことを分かりやすく伝えるスキルであれだけ活躍をされているので、そういったスキルは、非常に大きなビジネスチャンスにもなるし、大切なスキルだと思うんです。
これまで「図解」といわれている本のほとんどは、図解自体が複雑で、とても素人が書けるものではないものが非常に多かったんです。図解で分かるなんとかかんとかとかいうタイトルの本がいっぱいありましたし、ビジネスで図解を使いこなそうという本もたくさんあるのですが、図解自体を読みこなすのが大変だなと感じていました。私としては、どういう複雑系のシステムでも、細かく虫眼鏡でみていくと、最後にはものすごくシンプルな一つのパターンが何度も繰り返されて全体の複雑なシステムになっているというものがほとんどなんじゃないかと思うんです。つまるところ、ほとんどの事象は、要素と関係性で説明できるんです。
[撮影:大鶴剛志]
*8 ジャーナリスト。元NHKのニュースキャスター。近年では、テレビ番組『そうだったのか、池上彰の学べるニュース』等で活躍。詳しくは下記を参照。