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青木仁志氏インタビュー
[更新日2010/10/13]
「頂点を目指す生き方 ~世界最高峰の人材教育コンサルティング会社へ~」第3回
聞き手 / PE&HR株式会社 代表取締役 山本亮二郎
■40億円近い講師料
― 「頂点への道」が、これだけ続いている秘訣を教えてください。
 「頂点への道」は22,000名以上の方が受けてくださり、19年間連続500回以上継続してきました。私は、決して器用じゃないんです。あきらめずに、一つの道をこつこつ積み上げていくタイプなんです。典型的なこつこつ型ですね。決めたことはやらなければ気がすまない。500回と目標設定をしたら、誰がなんと言おうとも500回までやるタイプです。
 プロ野球の阪神タイガースの金本選手が、鉄人といわれた衣笠選手の連続試合出場記録を抜いた話で、腕が折れていても片腕一本でバッターボックスに立ったというエピソードを聞いたことがあります。私も500回継続するなかで、39度の熱を出しながらやったこともありました。それを「情熱の熱」だと言って講師をしたんですけれども(笑)、延べで言うと40億円近くの講師料をいただいているんです。なぜそれだけ続くのかというと、たぶんそれは、私がお話してきたようなヒストリーの中から必死に這い上がってきた人生に、皆さんが感銘してくれるからだと思うんです。そこに偽りはないですから。それに、私は自分が出来ていることしか言わないんです。
 元々は、さっきお話した千代の富士のプログラムに、手帳をつけたというのが現実なんです。その後には、アチーブメントプランナー(※12)というオリジナルの手帳を作りましたよ。今は、完成度がすごく上がっていると思います。こういう性格ですから、改善に次ぐ改善を徹底的にしています。テキストは改善する、プログラムは改善する、手帳も改善する、研修も改善する。すべて改善しています。
 先日、出張で宿泊したホテルに本田宗一郎(※13)さんの漫画が置いてあったんです。その表紙になんて書いてあったと思いますか。「飛行機よりも速い車を作ろうとした男の物語」です。いいですねぇ。この、エンジニアの、なんと言うんだろう、純粋にエンジンに命をかけた本田宗一郎さんに惚れたのが、藤沢武夫(※14)さんですよね。私も単に、溶接工見習いから始まって、こういうヒストリーなので、矢沢永吉さんの「成り上がり」ではないけれども、本当に自己実現というか、サクセスというものを求めてきたと思うんです。とにかくどうしたら人生が良くなるのかを追及し続けてきた。そのプロセスで得た経験が、お客様に支持されている理由なんだと思います。
― 「災い転じて福となる」という言葉が本の中にありましたが、失敗や苦しいことがあっても、その後成功に転じることができた理由を教えてください。
 逆境のなかでこそ人は成長するというのが本質だと思うんです。人間は弱い生き物ですから、易きに流れやすいですし、良いことが続くとだんだん緩くなります。だから、どうすれば良いかというと、「高みを目指す」ということですよ。苦しさはチャンスなんです。私は、苦しさが自分のバネになったと思います。28歳くらいのとき使っていた手帳を見返すと、「誠実にならなきゃいけない」「誠実たれ」とか、「信用に命を懸けろ」とか書いてあるんですよ。ということは、その頃はそれほど不誠実だったということですよね(笑)。でも、自分に対して常に叱咤激励していたんです。それは間違いない。55歳の今でも同じです。ここからの10年が勝負だと思っています。
■業種、仕事の本質、社会性が大事
― マーケティング活動や宣伝広告はどのようにされているのでしょうか。
 実はアチーブメントのお客様の87.5%が紹介でいらっしゃっているんです。つまり、お客様のクチコミでお客様を集めてきてくれる。集客のための広告宣伝費は、ほとんどかけていないんですよ。だから、ローコストオペレーションが実現できているんです。これが利益の源泉になっていますね。
 当社では、F1のスポンサーもさせていただいたことがありますが、これは社会的なブランディングなんです。プロフィールを見ていただけると分かると思いますが、名門チームのウイリアムズのスポンサーに「選ばれた」っていう点が大事なんですね。「なった」ではないんです。2010年に取り組んだF3についても同じで、要するに、全日本F3選手権のメインパートナーとして選ばれたわけです。なりたくてもなれない世界がありますよね。それが、ステータスでもあり、信用でもあるわけです。お金を出して買えるものと買えないものがある。業種、この仕事の本質、社会性、そういうものが大事だと思っています。
― 組織づくりにおいて、大切にされていることを教えてください。
 「企業は人なり」ですから、社員の成長が企業の成長だと思っています。私は「水槽理論」という考え方を持っています。もし仮に水槽の中の魚が病気になったとしますと、水槽からいったん魚を出して、治療をしてから戻しても、水質が悪ければ、また病気になりますよね。つまり、魚を治療するだけではなく、魚が住みやすい水質にする必要があるということです。「魚=社員」「水質=経営の仕組み」と考えると、社員が働きやすく、幸せになれるような魅力的な経営をしなければいけないと思うわけです。
 私はそれを社員にも徹底して伝え切っているんです。社員の幸せに向かって、本気で会社を変えようとするわけです。当然、そこには求心力が生まれるじゃないですか。目的に生きるわけですから。良い意味での厳しさも出てきます。そのような経営を、誰のために、何のためにしているのか、なぜこの会社を経営し、なぜ基準の高い経営を目指すのかということが、経営者を通じて社員に伝わっていきます。社員のモチベーションは当然上がりますよね。だから、社員はぶれないんです。当社の社員は、すごくリクルーティングされるんですよ。アチーブメントは伸びている企業だとみんな知っているし、社員たちは優秀ですから。だけど、引っ張られないんですよ。結婚とか、次のステージに行くときに退職することはありますが、引き抜かれて辞めることはないんです。
― セールスの教育研修からスタートされて、いつ頃から経営者の教育をしていこうと意識され始めたのでしょうか。
 2006年です。私は、自分の会社の社員を育てられない会社が、人様の会社の人材を育てられるわけがないという考え方を持っています。等身大と言いますか、全部自分のところで出来たことを教えているんです。ですから、2006年に、売上10億円、経常利益2億円、社員50人を達成し、私自身が経営者として会社を一つのステージに立たせることができたと思ったときに、日本の社会に必要な経営者教育をしようと思いました。自らがやってきたことをもとに、起業家の育成と中小企業経営者に健全な考え方を教えようと思ったんです。経営者自身がまともな考え方を持って、まともな経営をしない限り、中小企業経営者を救う道はないと思います。日本は99%近くが中小零細企業です。上場企業は約3,800社しかなく、今ではその数が減っている。要するに、大企業よりも中小企業に勤めている人が圧倒的に多くて、ほとんどの会社が社員10人以下なんです。
 そのような会社では、多くの場合、事業承継もできない。結局、親族が後を継ぐしかない。本当にドロドロの世界なんです。借金付きで会社を継いで、会社がおかしくなったらもう、一家離散ですよ。この悲劇はあってはならない。そういう家庭は、外的コントロール的な関わり(※15)なんです。貧乏な家庭ほど、余裕がないから外的なんですよ。教育に対する余裕がないとかいろんなことがあるんです。
 諸々の社会の問題を、教育によって変革していくということで、経営者教育、専門職の教育をしています。それを、今まで22,000名以上やってきたということです。経営者教育ということをテーマにしたのは20期(2006年)からですので、まだまだ3年目ですが、今では私の講座に参加する方には経営者が増えてきました。


[撮影:大鶴剛志]
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※12 アチーブメントが独自開発した目標達成手帳。詳細は同社HPをご覧ください。
※13 本田宗一郎については、本田宗一郎全巻を参照。
※14 本田宗一郎と共に本田技研工業(ホンダ)を、世界的な大企業に育て上げた。著書に『わが経営に終わりはない』など。プロフェッショナル経営者自伝・伝記全巻を参照。
※15 選択理論で、使ってはいけないとするコミュニケーション。「批判・責める・文句を言う・ガミガミ言う・脅す・罰を与える・目先の褒美でつる」の7つがある。
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