ドラッカー著『イノベーションと企業家精神』を読む
7月 14日 | 投稿者:旅人 | 書評, 経営学『イノベーションと企業家精神』
P.F.ドラッカー著/上田惇生訳 (ダイヤモンド社)
本書は、1985年に出版されたドラッカーの名著の一つです。アメリカの分析を中心に、冒頭で起業家経済、起業家を定義し、その後イノベーションを生み出す7つの機会について事例と共に書かれています。
「ベンチャー」というとハイリスクハイリターン、ハイテクといったイメージが先行しますが、それは誤った認識であることがわかります。実際のデータをもとに明らかにされています。また、「起業家」について、ややもすると直感的、気質、才能といった言葉で表されますが、基礎となるのは原理、方法であり、行動であると定義しています。
イノベーションの部では、第五の機会として挙げられていた「人口構造の変化に着目する」が面白かったです。社会はなかなか変わらないようで一気に変化するという側面があります。ただ、人口構造に着目し、丁寧に分析すれば、今が将来へのリードタイムであり、将来の社会が見えてくるのだと思います。「既に変化は起こっている」のです。
アメリカが元々は起業家社会ではなく全くの大企業社会であったことも興味深いですが、日本においてもこれから起業家社会への変化が起こることに期待したいと思います。ドラッカーもその可能性があると言っています。