孫正義氏の人生の中で一番大切なスピーチ

1月 18日 | 投稿者:店長 | 成長企業研究, 書評 タグ: , , , ,
Share on Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 孫正義氏の人生の中で一番大切なスピーチ

ソフトバンク新30年ビジョンソフトバンク新30年ビジョン
ソフトバンク新30年ビジョン制作委員会編(ソフトバンク・クリエイティブ)

2010年6月25日、ソフトバンクの株主総会で、孫正義氏が発表した新30年ビジョンのスピーチとビジョン策定にいたる同社のプロジェクトについて書かれた本です。巻末には、スピーチを収録したDVDがついていて、音と映像で当日のスピーチの興奮を味わうことができます。

孫さんにとって、30年ビジョンを作るのは2回目のことです。デジタル情報革命の旗手になるべく1981年日本ソフトバンクを設立した当時、たった二人のアルバイトを前にみかん箱の上に立ち、30年後に豆腐のように1丁(兆)、2丁(兆)と数える規模の会社にすると宣言した話はあまりにも有名です。それから30年を迎え、当時思い描いたように、同社は売上高2.8兆円、営業利益4,658億円のグループに成長しました。

「情報革命で人々を幸せにしたい」、ソフトバンクのやりたいことはこのたった一つのことだと語ります。同社の理念です。これまでの30年も、これからの30年も変わりません。
30年後を考えるのに、300年後のテクノロジー、ライフスタイルを考えるという手法も孫正義流だと思います。300年という遠くの地点から見た30年先の世界はとても現実的に見えます。

本書では、ビジョンやそれを実現するための戦略等、参考になりますが、最も感動するのは、おばあさんの事について語った最後のスピーチです。佐賀県鳥栖市五軒道路無番地に生まれた孫さん一家は、孫さんの幼少時代、食堂から残飯をもらって豚を育て生計を立てていました。おばあさんが引くリヤカーに乗って、自分もついていったと語られました。中学生で事業家になると決意し、渡米する前、コンプレックスであった韓国の地をおばあさんと訪れます。おばあさんは小さな村の子供たちに古着をお土産として渡していたと言います。子供たちの満面の笑みとおばあさんの笑顔。孫さんの頭の中に強烈な印象を残しているのでしょう。会社を始めて2年たち、大病を患い入院していた頃、おばあさんがやっていたような人に喜んでもらえる事、そういう貢献ができたら幸せだとつくづく思ったといいます。お金じゃない。地位でも名誉でもない、と。孫さんのスピーチをきくと、事業の本質とは何か考えさせられます。

姜尚中氏がAERAで、株主総会前に孫さんから会食に招待された話が紹介されていました。株主総会当日、孫さんのスピーチにいたく感動したと書かれていました。また、このスピーチから、週間ポストでノンフィクション作家佐野眞一氏が短期集中連載中の 「あんぽん 孫正義伝」につながっていきます。

スピーチの最後に言った孫さんの言葉が、印象的でした。

会った事もない、見た事もない、名前も知らない、どこかの国の小さな女の子が、泥んこの顔で、「ありがとう」って言ってくれたら。何かわれわれができる事をして、誰に感謝していいかもわからないくらいの状況で、心の中で「ありがとう」って。そういう貢献ができれば幸せだと思います。(本文から引用)

本を読む以上に、言葉遣い、息遣い、感情の起伏を感じることができるDVDでスピーチを見て、聴いていただくことをお勧めします。

■関連全巻

孫正義全巻

ビジネス書全巻ドットコムに会員登録(無料)して、自分だけのオリジナル全巻「マイ全巻」をつくろう

会員登録はコチラ

タグ: , , , ,

Comments are closed.

Produced by PE&HR Co., Ltd. [PR] 成長ベンチャーの求人・転職支援サイト