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「8号(出版用紙を製造する巨大マシン)が止まるときは、この国の出版が倒れる時です」―2011年3月11日、宮城県石巻市の日本製紙石巻工場は津波に呑みこまれ、完全に機能停止した。製紙工場には「何があっても絶対に紙を供給し続ける」という出版社との約束がある。しかし状況は、従業員の誰もが「工場は死んだ」と口にするほど絶望的だった。にもかかわらず、工場長は半年での復興を宣言。その日から、従業員たちの闘いが始まった。食料を入手するのも容易ではなく、電気もガスも水道も復旧していない状態での作業は、困難を極めた。東京の本社営業部と石巻工場の間の意見の対立さえ生まれた。だが、従業員はみな、工場のため、石巻のため、そして、出版社と本を待つ読者のために力を尽くした。震災の絶望から、工場の復興までを徹底取材した傑作ノンフィクション。
第1章 石巻工場壊滅
第2章 生き延びた者たち
第3章 リーダーの決断
第4章 8号を回せ
第5章 たすきをつなぐ
第6章 野球部の運命
第7章 居酒屋店主の証言
第8章 紙つなげ!
第9章 おお、石巻
1968年生まれ。早稲田大学法学部卒業。日本語教師を経て、ノンフィクションライターに。2012年『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で第10回集英社・開高健ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)