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「森さんは場に感応するタイプです」姜尚中のその一言から、戦争や虐殺の傷跡の残る場所を訪ねての対談は始まった。アウシュビッツ、デンクマール、三十八度線―人が存在する限りこの世から戦争はなくならないのか。悪夢にも似た重苦しい旅で、二人は何を感じ何を思い、どんな真理に辿り着いたのか。文庫版のために行われたヒロシマでの対談を収録。さらに本文にも大幅に加筆した決定版。
第1章 戦争の世紀のトラウマ―場所に残された記憶を辿って(善良な村人が殺戮者になるとき;虐殺のメカニズム ほか);第2章 勝者、敗者、被害者の記憶―裁きの場で(一億総玉砕の裏側;儀式としての東京裁判 ほか);第3章 限定戦争という悪夢―冷戦の最前線で(朝鮮半島分断へ;いびつな階級と同族憎悪 ほか);第4章 そろそろ違う夢で目覚めたい(純真無垢な残虐性;リアリティなき殺人の連鎖 ほか);第5章 ヒロシマ、その新たな役割―「核なき世界」の発信地に(広島を東アジアの「入場チケット」に;二十一世紀、この十年の戦争 ほか)
姜 尚中 (カン サンジュン)
1950年熊本県熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。ドイツ、エアランゲン大学留学後、国際基督教大学准教授などを経て、東京大学大学院情報学環教授。専攻は政治学、政治思想史
森 達也 (モリ タツヤ)
1956年広島県呉市生まれ。立教大学卒業。86年テレビ番組制作会社に入社、ドキュメンタリーを中心に数々の作品を手がける。98年オウム真理教の荒木浩を主人公とする『A』を、2001年には続編『A2』を発表。現在は紙媒体での執筆活動が中心(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)