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欧州は今揺れに揺れている。ギリシャ、ポルトガルなどが相次いで国家破産の危機に陥り、統一通貨ユーロからの離脱すら囁かれているからだ。なぜ欧州はこのような事態に陥ったのだろうか。EUという枠組みそのものに何か不備があったのだろうか。もしそうであれば、欧州がこれまで築いてきた統合への道ははたして正しかったのだろうか。本書はこうした視点から最近の欧州の混乱を包括的に検討し、今後の行方を見通す。膨大な財政赤字を抱えるわが国にとって、欧州の悲劇はけっして対岸の火事ではないのである。
序章 EUにおける金融・経済危機の現状
第1章 なぜ金融危機は欧州で起きたのか―今回の欧州での金融危機の背景
第2章 欧州各国は金融危機を防ぐことができたのか―EU域内での金融危機の影響と加盟各国の対策
第3章 なぜ深刻な財政問題が発生したのか―混迷する財政問題
第4章 国境を越えた政策調整は機能したのか―EU主導の危機対策の有効性と限界
第5章 EUの金融規制改革とはどのようなものなのか―世界的な金融監督体制の改革とEU
第6章 欧州経済の正常化は可能なのか―今後のEU経済の焦点
第7章 日本はギリシャ、アイルランドとなるのか
高屋 定美 (タカヤ サダヨシ)
1963年京都市に生まれる。1986年神戸大学経済学部卒業。1991年神戸大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。1991年近畿大学商経学部専任講師。1994年近畿大学商経学部助教授。2001年近畿大学商経学部教授。現在、関西大学商学部教授。博士(経済学、神戸大学)。専攻、国際金融論、欧州経済論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)