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メザシを愛し、風呂の湯は桶の半分まで。贅沢を厭い、徹底した実利思考と天賦の才で財を成すも、福祉事業に邁進し残した財産は借金ばかり。家庭を顧みず、天下国家、世のために奔走。腹心の裏切り行為は素知らぬ顔でやり過ごし、悪くは“有名税”と笑って済ませた。仏壇には、関係した女の名が記された短冊を70以上並べ、終生、色恋に執心した。日本の首領の知られざる素顔。書き下ろしノンフィクション。
第1章 西国街道―家郷を越えて
第2章 国粋の旗幟―憂国の情やみがたし
第3章 修羅を奔る―「下半身の人格は別」
第4章 戦うA級戦犯―上等兵、大将を叱る
第5章 獄中対決―田中隆吉の罠・児玉誉士夫の背信
第6章 王国の舟―情に生き、利に通じ
第7章 終生の煩悩―九十歳、恋情
第8章 棺の蓋―絢爛たる逆光の下で
工藤 美代子 (クドウ ミヨコ)
1950年東京生まれ。チェコスロバキアのカレル大学留学後、カナダのコロンビア・カレッジ卒業。91年『工藤写真館の昭和』で講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)