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ブログやツイッター等々、傍若無人に言葉が垂れ流されている。本人は自由に自己表現をしているつもりかもしれないが、実際にそうした言葉を読むと、自由というよりも、手前勝手な思い違いとしか思えないものが少なくない。その多くは「自分探し」の強迫と享楽に憑かれている。他者の全き不在、まさにつぶやきであり、ここからは何も生まれない。「ちっぽけな自分をなくせ、他人の言葉にどっぷりつかれ!」―本書はその少々手荒な処方箋である。
序章 不良中年が思想家の自伝を読みなおすきっかけ
第1章 書物という他者たちから語る(テリー・イーグルトン『ゲートキーパー』;ジョージ・スタイナー『G・スタイナー自伝』;コリン・ウィルソン『発端への旅』)
第2章 自己を語ることの策略(ルイ・アルチュセール『未来は長く続く』;ジャン=ポール・サルトル『言葉』;ミシェル・レリス『成熟の年齢』)
第3章 抵抗する自己の生(きだみのる『人生逃亡者の記録』;大杉栄『自叙伝』;林達夫『歴史の暮方』)
第4章 死ぬことを学ぶ、自己を語りはじめる(エドワード・サイード『遠い場所の記憶』;谷川雁『北がなければ日本は三角』)
上野 俊哉 (ウエノ トシヤ)
1962年生まれ。和光大学表現学部教授。冬季はカナダ、モントリオールのマッギル大学東アジア学科で客員教授を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)