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九回裏、背番号3・長嶋の放ったサヨナラホームラン―昭和三十四年、昭和天皇を迎えた“天覧試合”の劇的な幕切れは、その時天皇の背後に座っていた一人の老人にとって過去の恥辱を雪ぐことを意味した。その男・正力松太郎。読売新聞、日本テレビ、巨人軍の上に君臨し、大衆の欲望を吸いつくした男を描く大河ノンフィクションの傑作。
第1章 暴圧と故郷―青白いガス燈の下、血だらけで立つ正力;第2章 虐殺と伝令―伊藤博文愛用のステッキから凶弾一発;第3章 美談と略奪―武者ぶるいして読売に乗り込む;第4章 社旗と伝説―新聞の生命はグロチックとエロテスク;第5章 疑獄と遭難―正力テロ事件、六十年目の真相;第6章 不倫と絹糸―サヨナラ・ホームランをみた摂政宮;第7章 転向と墓銘―笑顔よしの沢村から微笑が消えた;第8章 決起と入獄―共産党の手に渡るなら読売をつぶせ!;第9章 祝宴と嫉妬―笹川良一がハダカで正力に説いた「浴槽の美学」