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本書「はじめに」より
私は多くの方に教えとお力をいただいた。一方でご迷惑もおかけした。私自身は懸命になって仕事をしてきたが、しかし、大きな失敗をした。ノンバンクのファーストファイナンスを大きくしたことと、リクルートコスモスを急拡大したことである。そのため、一兆二千億円余の不良債権を残して、私はリクルートを去った。リクルートの負の資産を、私のあとに続く人たちに、毎年一千億円の利益を出すことで返済してもらった。リクルートでの私の功罪は、「罪」の方が大きかったと思っている。事件と株譲渡によって私がリクルートから離れたことで、リクルートの世代交代はスムーズに進んでいった。そのことは良いことであった。本書の後半は、私のリクルート株をダイエーに譲渡した経緯である。平成三年から四年にかけての出来事を、いつの日か社員に伝えたいとの思いから書き留めていた当時の記録をもとに書いている。会話体を多くしたが、一言一句再現したものではないことを、お断りさせていただく。実名にさせていただくことにためらいもあったが、株譲渡から十一年余、当時の関係者はすべて現職を退かれている。不愉快な思いを抱かれる方もおられるのではないかと案じるが、お許しを乞うところである。
大前研一氏、推薦!リクルートコスモス株問題で世間を騒がせた江副浩正氏が、自らの生い立ち、リクルート時代、そしてダイエーへの株譲渡までを赤裸々に綴った迫真の書!
第1章 生い立ち(飢餓体験とコンプレックス;甲南から東大へ)
第2章 リクルートと私(創業期の求人広告事業;生き生きと働く風土;情報誌事業の展開;多くの経営者に学ぶ ほか)
第3章 ダイエーへの株譲渡(不動産急落・コスモスに暗雲;ファーストファイナンスの撤退;迷走したコスモス再建案;中内さんと交渉開始 ほか)